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くるりの「東京」をはじめて聴いたとき,出だしのリフにデヴィッド・ボウイの「ジギー・スターダスト」が二重った。他の曲(さよならストレンジャーだっただろうか)でも「スターマン」っぽかったり,音の取り方とでもいうのだろうか,響いてくる音がデヴィッド・ボウイに似ていると思ったあたりから,聴き方が変わってきた。

山口泉との対談で埴谷雄高が次のように語っている。

僕が感心するのは,あなたがよく引用することです。あれをやらないといけないんです。単に抽象的に弾劾するだけでは,相手には分からない。引用するということは,自分が読まなければだめなわけだから,大変なわけですよ。(後略)
山口泉『新しい中世がやってきた!』,p.317,岩波書店,1994.

意味は違うのだけど,くるりの曲に他の曲からの引用を発見すると,埴谷雄高のこの言葉を思い出す。“Don’t let me down”が“地下鉄”になったり,“すけべな女の子”はKing Crimsonの“Neal and Jack and me”を思い出したり,“ロックンロール”を聴くと,あぶらだこを思い出したりする,そうした記憶が揺さぶられるのが面白いのだ。

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