Toast, yet

収入を得るようになって後,朝食をしっかりとるようになったのは家庭をもってからのことだ。ホットのアールグレイにミルクを注いで飲むことが決して不味くないことは家内を通して知ったような塩梅だから,それまでの私の朝食はほとんど,ランチタイムの名ばかりサラダよろしく,とってつけたようなものだった。

子どもが生まれる前は,温めたパンに卵,チーズに,プルーンと黄粉を添えたヨーグルト,くだもの,それにミルクティーというのが定番だった。卵はミルクをかなり足した柔らかめのスクランブルエッグにハーブを振りかけたり,残り物の豆腐が入ったり日によって異なった。

子どもが生まれてからさすがに限られた時間でつくらなければならなくなり,卵とチーズはどちらか一方で済ますことになったものの,それ以外は20年近く変わらない。

トースターを買っていないので,パンはレンジで温めたもので済ませる。トーストしたほうが旨いパンは少なくない。しかし,茗荷谷のマール・ツァイトのパンはレンジで温めるだけでも十分だ。

事務所から一番近い食べ物屋がマール・ツァイトなので,昼休みや夕方によく出かける。焼き立てのパンを買って帰り,すぐ食べたほうが旨いのだろうけれど,事務所から自宅まで小一時間はかかる。それよりも何も昼休みに買ったとしてもロッカーに置いたまま,結局食べるのは翌朝になってしまう。
世の旨いパン屋同様,マール・ツァイトのパンも値が張る。
いきおい袋に詰められた前日のパン,通称「サービス」を買い求める。サービスを目当てに伺っているのでは決してない。袋が残っているときはほとんどいつも買ってしまうだけだ。

マール・ツァイトのパンはかみごたえがある。ここのパンを食べるようになってから,他の店のパンが柔らすぎるように感じる。

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