新潮

1991年にはパソコンはもっていなかった。いや,NECの98を単にワープロ代わりに使っていただけの頃だ。それに三島賞の結果がパソコンで確認できた時代ではない。だから,選考結果を知ったのは新聞だったはずだけれど,当時の新聞は保存していない。本の山から出てきたのは1991年7月号だ。

当時の三島賞選考委員は,江藤淳,大江健三郎,筒井康隆,中上健次,宮本輝。宮本輝の作品で読んだことがあるのは連載時の「避暑地の猫」くらいで,この当時,どうして選考委員だったのかいまだわからない。前年に単行本化された矢作俊彦の『スズキさんの休息と遍歴』が候補にあがっていて,もしかしたら三島賞を取るのではないかと,内輪では盛り上がった記憶がある。

選考結果のうち,今読んでも面白いのは大江健三郎と筒井康隆のものだ。絵が下手だということで受賞を逃した,もしかしたら唯一の小説家かもしれない,矢作俊彦は。
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