出会いがしら

私が昔から不思議でならなかったことは,医師にでたらめな死亡診断書を書かせるか,あるいはそれを偽造すれば,警察の目に触れずに,死体を直接火葬場に運べるわけで,こんなことをされたら大変であるのに,どこの役所でもこの処理を意外に安直にやっているということなのである。松本清張氏も「このヒントから『わるいやつら』を書いたが,考え方によっては,これほど完全な犯罪はないと思う」と述べている。

小説の中では,古くは中井英夫氏の『虚無への供物』から最近の井口素子氏の『平家郷殺人事件』,矢作俊彦氏の『真夜中にもう一歩』(ママ),レンデルの『悪夢の宿る巣』,デズモンド・バグリーの『南海の迷路』,小杉健治氏の『絆』などで使われている。夏木静子氏の『目撃』もそのバリエーションである」
由良三郎:ミステリーを科学したら,p.50,文春文庫,1994.

たまたま105円棚でみつけた文庫本の一節。確かにそうだけど,推理小説としてこのように評価されたのを読んだ記憶がほとんどなかったことに気づいた。

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