SARASVATI

引越しを契機に連絡が途絶えることは少なくない。借りたまま,貸したままの物品が手元に残ったり,手元になかったりということもかなりあった。

大学時代,一人暮らしをしていた頃のこと。私はロバート・フリップ・ファン・クラブに属していた。こうやって記そうとして記憶をたどるなかで,でも,どこでファンクラブの存在を知ったのか,すっかり失念していることに気づいた。「フールズメイト」か,もしかしたら1984年のKing Crimsonのコンサートのときに入会案内のチラシが入っていたかも知れない。

なぜ,King Crimsonではなく,ロバート・フリップのファンクラブなのかというと,ご存知のとおり,King Crimsonは解散している時期がしばしばある。仮にファンクラブ設立が1981年の再結成前だったとする。いきおい,King Crimsonは1974年に解散したまま,ロバート・フリップのファンクラブになった。いや,経緯など記憶にないので,あくまでも想像だ。

ゼルダとともに,ネット上で,赤い公園をSARASVATIになぞらえる書き込みを見た。SARASVATIは3人組の女性ばかりのバンドで,ベースがスティックを使っていること,変拍子の曲が多いことなどを覚えている。12inchやシングルだったろうかは1,2枚,実家を探せば出てくるかもしれない。曲調は一歩間違えばフュージョンになだれ込みかねないあたりの上品な印象で,もう少し下世話にすればよいのに,と当時は思った。

にもかかわらず,なぜ12inch(シングル?)を手に入れたかというと,ロバート・フリップ・ファン・クラブの会長の川合さんがSARASVATIのベーシストというかスティック奏者で,会報にときどきSARASVATIのライブや音源のことを告知していたためだ。ならば,とりあえずは,と神保町界隈で手に入れた。

赤い公園はKing Crimsonの「偉大なる詐欺師」をやれそうな気がする。そんなふうに思ったバンドは亀盤までのあぶらだこくらいで,同じようにあぶらだこの「Farce」も赤い公園はやれそうな気がする。でも,SARASVATIは「偉大なる詐欺師」も「Farce」もやらなそうな感じなのだ。「偉大なる詐欺師」という曲は,時にリトマス試験紙として使える。これは微妙な感覚で,あぶらだこの「偉大なる詐欺師」は想像できても,YBO2のそれは想像できない。何が違うのか言葉にする気はないので,そういうものだとしかいいようがない。

というわけで,赤い公園とSARASVATIを比べても,あまり共通性はないと私は思う。

大学卒業を控え,親が都内に転勤となったため,下宿を引き払った。ロバート・フリップ・ファン・クラブに転居の通知は出さなかった。会報に数回,投稿したものの,懇親会(だったろうか?)には一度も出ないまま,私から音信不通にしてしまったのだ。

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