引用

小林信彦の書いたもののなかに矢作俊彦が出てきた記憶はなかったのだけれど,『地獄の観光船』(集英社文庫)に,このようなくだりがあった。

大衆に知られたヒーローを他の作家が登場させるのには,二つのケースが考えられる。
一 パロディの場合。(それでも人名を変える要あり。)
二 自分で魅力的なヒーローを作り出せない場合。
河野氏(典生「アガサ・クリスティ殺人事件」のこと)の場合が,二でなければ幸いである。
これがいいとなれば,矢作俊彦氏はフィリップ・マーローを書けるし,栗本薫氏はネロ・ウルフを使えるのだ。(p.166)

後に“あ・じゃ・ぱん”でとった手法は広義では「一」に入るかもしれないが,それとは似て非なるものだと思う。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Top