近況

仕事が立て込みはじめるとともに,数年前から発症した花粉症が今年は非道く,先週末から散々な体調に陥る。花粉症の対症薬とともに風邪薬を飲むことがあるのは,結局,風邪と同じ症状になるからだ。

花粉症の対症薬を飲み始めてから,悪夢の回数が増えた。その前とはまったく毛色の違う夢なので薬の影響に違いない。身近な人,しばらく会っていない人が日替わりで登場し,大変な目に遭遇する。分析しようもない,実に類型的な悪夢の数々。村上龍ではないけれど,結局,薬一粒で夢まで浸食されるなんて,「自己」の非力さをなさけなく思う。

再読していた『引擎/ENGINE』(新潮文庫)が終わってしまったので,『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』(早川文庫)を鞄に忍ばせている。四半世紀ぶりにページを捲りなおすと,エンパシーを外在化して評価可能,なおかつそこに介在できるというのは,ディックのドラッグ体験が背景にあるのだろうかと,冒頭しばらく読んでから思い立った。少なくとも「共感の意味」に価値を見出してはいないところがシニカルだ。即物的という点からするとディックは山田風太郎に近いのかもしれない。『ユービック』の解説だったかに,そのあたり書いてあった記憶があるのだけれど,これ以外の文庫はまだ,実家の押入れに残してあるので確認できない。

SNSで喬司や裕一とやりとりする回数が増えたし,最近は学生時代の彼らと飲む機会が増えた。昌己となんて,担当教授の最終講義もあったけれど,年明けから3回飲んだことになる。30代から40代にかけて,バンド活動はさておき,連絡をとらなかった間のことをあれこれ考える。

一方的な因果関係だけれど,私にしてみると,親が他界したことが,なんだかきっかけのような気がする。一方的と書いたのは,逆が,つまり「親が元気だったから彼らと連絡をとらなかった」とはまったくいえないからだ。

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