ちいさこべえ

望月ミネタロウ(原作・山本周五郎)の『ちいさこべえ』(4)。だらだらと延ばさずに全4巻で完結。『東京怪童』といい,このくらいの長さできちんと終わるマンガはよい。『バイクメ~~~ン』だって,あれだけ内容が詰まって4巻,『お茶の間』は3巻,『バタアシ金魚』だって6巻だ。それにもかかわらず,きちんと線と構図とコマ割り,ネームで見せていく。

マンガにはいろいろあってよいのだけど,ただ,このマンガを基準にすると,無茶苦茶マンガのハードルが上がることだけは間違いない。

原作通りの「お母ちゃん」のくだりは,こんなに真正面から描いてずるいだろう,というくらいの迫力だ。

マンガのコマというのは,一つ描いてしまうと残りのスペースは決まってしまう,実にやっかいな縛りのなかで展開される。1970年代の少女マンガが,枠線を取っ払ったのは発明だとは思うが,こうやって,四角のなかに四角をいくつか構成して,それできちんとページのバランスをとり,なおかつ,一つひとつのコマの構図を斬新に決めていく。

望月ミネタロウになってからのこのマンガ家は,天才・石森章太郎と肩を並べる才能だと思う。

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