「食欲がない」よりも「食欲が沸かない」という表現のほうが近いかもしれない。その後もFMラジオを聴きながら,からだの位置を変え,ときどき本やマンガを捲る。とはいえ,集中できないものだから,スッと文章が入ってくる本を探して,かえって落ち着かなくなってくる。
結局,『包丁人味平』の「第1回全日本ラーメン祭り編」をボーっと読んでいるうちに,少しずつ体調が回復してきた。夜にそうめんを数本食べたものの,あとは腸が動いている感じがしなかった。
発症後30時間を過ぎたあたりから,ようやく少し食欲が沸いてくる。中華粥を食べ,夜にはうどんが食べられるようになった。それでも腸が動いている感じはしない。
発症後50時間,朝もうどんで済ませると,仕事に向かった。
結局,しばらくは食物がうまく消化できず,ふつうに戻ったのは発症後,1週間を経てからだった。