ミルグラム

大学時代の友人たちと飲んでいると,1年のときに,ゼミの教授主催でエンカウンター・グループがあったことをはじめ,まったく覚えていない話があれこれ登場した。当然,それらに私は参加していない。

セラピーやワークなどの体験を自分がほとんどもっていないことに思い立ち,あれこれ考えていたときに浮かんだのが別冊宝島の 『精神世界マップ』と,ミルグラムの『服従の心理』。

特にミルグラムの服従実験の講義を受けたときの衝撃はボディブローのようにじわじわと効いてきたことを覚えている。たぶんあのとき,人を操作するようなメソッドには近づかないように刷り込まれたに違いない。認知行動療法にいまだ違和感をもっているのもミルグラムとつながってしまうように思えるからなのだろう。

だから,「正しい戦争」などと政治家が言い出すときに,思い出すのはミルグラム実験だ。
ミ ルグラム実験について記憶にとどめておくことで,「先の大戦で日本は正しい戦争を行なったのではないか?」というような奇矯な問いに感化されることが少なくなるかもしれない。正しい戦争などあるのか,仮に正しい戦争があったとして,そのために2,000万人ともいわれる被害者を生むことっておかしくないか? と,それなりの距離感をとることができるのではないかと。

戦争にあるのは善悪ではなく,巧拙でしかない。私にとっては矢作俊彦を経由した認識だけれど,少なくとも第一次大戦前にすでに一般化されているように思う。

好みの問題とは別に,みずからの自由を何らかのかたちで確保しようとするならば,この本に一度(たとえ読まなくても,何が書かれているかについては),接しておいたほうがよいと,改めて感じた。

ところで,もう一冊については,入学してしばらくして,どんな話題からそんな話になったのかもはや覚えていないが,友人と話しているうちに「カルマ」という単語が出てきたことがある。
「カルマ・カルマと叫んでいると,いつの間にか,ダルマになってしまうもののことだよな」と私が言うと,友人の一人が「別冊宝島だろう,それ」と即座に返ってきた。

まったく違う場所で,同じようなものに出会い,似たところが記憶にのこる。大学の友人は,そんな奴ばかりだった,そのことを幸せに感じる。

以下は,『精神世界マップ』で紹介されているものの一部。今回読み返すまで,ロルフィングが触れられていたことに気づかなかった。

est/アリカ・システム/ゲシュタルト・セラピー/エンカウンター・グループ/結ぼれ/バイオフィードバック/マインド・リーチ/偶然の本質/スーパー ネイチュア/野口体操/グルジェフ体操/フェルデンクライス訓練法/ロルフィング/ウスペンウキー/シュタイナー/バックミンスター・フラー/カプラ/グ ロッフ/レナード/ベイトソン/ラム・ダス/ラジネーシ/鈴木大拙/盤珪など。

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