マンガ版『風の谷のナウシカ』について,アニメ版の下敷きになった第1巻,2巻あたりはさておき,最終の第7巻について庵野秀明が「クイックジャパン」で,「価値の転倒を行なった」と評価したインタビューを読んだことがある。
途中,コマ割りが大きくなって,ページを捲るスピードが速くなりはするものの,長いマンガだし,噴き出しにも文字が多いので,第7巻についてあまり記憶に残っていなかった。
週末を潰して読み終えたときは,ユングとかメアリ・ダグラスの本を思い出した。
再読のきっかけに絡めていうと,身を呈してまでも対話の経路づくりのカギになるものが必要なことを痛感した。竹内まりやの曲ではないのだから,それはきれいごとでは済まない。けれども,その汚辱と禁忌が関係性をつなぎとめる力になり得ることは,たぶん,このマンガに込められた思いの一つであるのだろう。