国会前

午後から数のことを考えた。数自体ではなく,数が与える不意のゆらぎのようなものについてだ。

職場の近く,東京ドームには5万人の収容量がある。5万人を喩えるとき,“東京ドーム1回分”というように使われやすい。日産スタジアム1回より少ないと突っ込まれもしようが,ただ“5万人”という数字にはどこか弱さのようなものを感じる。

しかし10万人となると,風向きが変わりそうな気がするのだ。根拠も何もない,それは単なる感覚だ。初手から正しいから道理が通るなどとは考えていない。

喬司と昌己にメールで連絡をとり,18時半に待ち合わせて,国会前に向かった。19時の国会前は,人いきれで,まるで西新宿にあった頃のロフトよろしく酸欠状態。そして,まだまだやってくる人の波。

1977年の夏,劇場版宇宙戦艦ヤマトが公開されたとき,中学生だった私は,友人とともに始発電車に乗って池袋の映画館に向かった。国会前に行った気持ちは,実のところ,あの夏の朝にとても似ていた。

ふと,水俣病事件を闘った川本輝夫さんの言葉「熱意とは事ある毎に意志を表明すること」を思い浮かべた。

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