Kindle

少し前,FBに山野浩一さんがKindle fireを購入したと記していた。電話以外,ひととおりの機能はこれでまかなえる,というような感じだったと思う。「GRAPHICATION」が電子版に移行した昨年末あたりから,タブレットを手に入れるかどうか考えていた。とりあえず読みたいのは「GRAPHICATION」くらいで,他は電子版の世話にならずとも,今の環境で間に合うのだ。

すでにアマゾン・プライム会員になっていることも後押しし,この前,Kindle fireを買った。

よかったのは,自宅のWiFi接続時以外はSNSに繋がらないことだ。このマイナス機能が本を読むのにとてもよい。会員は月一冊無料で読めるというので,早速『幻魔大戦deep(1)』をダウンロードした。それほどの分量がないからなのか,金曜日の通勤途中と,土曜日に花粉症対症療法の注射を打ちに行き,池袋で昼食をとりおえたくらいの時間で読み終えた。物語を読む,というより読み進めるのには,それほど悪い感じはしなかった。左手で画面を押して捲るページの感覚,それに適当なリズムがあるのかもしれない。版面はそれに即して決めていいのかもしれないけれど,版面の美しさとか,かなと漢字のバランスとか,そのあたりには一切かかわりのないものだと思う,これは。

それにしても平井和正の小説が昭和60年代あたりから,どれくらいつまらないものになったか,その証のような小説だ。『幻魔大戦』4巻以降の新興宗教小説化は,ねずみ講の被害者体験のように,それでも容認できるところがあったのだけれど,『地球樹の女神』後は,新しい小説を読んでいない。『サイボーグブルース』は数年に一度読み返すことはあるし,手元に残っていたならば“アダルト・ウルフガイ”シリーズだってハードボイルド小説としてページを捲りたくなることがあるかもしれない。元々,文章は上手いし,そのつど表現方法を開拓していった小説家なのだけれど,その衰えを今更ながらさびしく感じる。

「GRAPHICATION」はネット経由で読むことができた。パソコンからでもできるものの,まあ,それが読めるようになったことは,もうひとつよかったことだ。

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