珍来

この前,20年ぶりくらいに珍来で焼きそばとギョウザを食べた。

たぶんはじめて入った小岩にある珍来は,ハッピーアワまでしばらくある隙間のような時間帯でもほぼ満席だった。客の7割近くは煙草をふかす。向かいのテーブルに居座る,柄のよろしくない若者の集団の一人は,すでにトイレで胃をひっくり返していた。戻ってきてそういいながら,店員にレモンサワーのお代わりを頼む。

焼きそばは油っぽく,ギョウザはボリュームがありすぎた。瓶ビールで流し込んだはいいが,勘定を済ませ,近くの書店を探してぷらんぷらんしているうちに気持ちが悪くなってきた。そのまま義父のところへ行く予定だったのだけれども,キャンセルしてしまった。

何度か書いたけれど,30年前,ゼミの教授がカウンセラーとして勤めていた精神病院で2年間ほどアルバイトをしたことがある。準夜勤1回,深夜勤1回の週2回でバイト料は6万円,そこに幾許かのボーナスがつく。食べる気さえあれば,病院食と同じだけれど夕食,朝食も出る。待遇はよいので代々,その教授のゼミ生がアルバイト枠を死守してきた病院だった。

徹と同じタイミングでアルバイトに入り,翌年に和之が加わった。友人以外に同じ学部の知人が数名,その時期に同じ病院でアルバイトをしていた。

準夜勤は17時半からなので,3階準開放病棟のナースステーションに着くと,申し送りの看護師を横目に1階の食堂に降りて夕飯をとってから仕事に入る。当時は肉が嫌いだったから,メニューによってはほとんど手をつけないこともあったし,お世辞にも美味いものではなかったが,それでも月数回の食費は助かった。

深夜勤は午前0時前から始まる。夜半の薄暗い道を病院へ向かう途中に珍来はあったので,アパートで夕飯をとらずに,そこに寄ってから病院に行くことが多かった。(つづきます)

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