高円寺

1990年の高円寺北口。スポーツ平和党とオウム真理教が睨み合う横に,石原軍団が登場した。あれからずっと,余韻とは程遠い,長い長い昭和の終わりと区切りをつけられずにいるような気がする。

公開書簡フェアを終えて,久しぶりに高円寺をぷらんぷらんとした。

家内と待ち合わせ,北中通りを阿佐ヶ谷方面に向かう。バロックがなくなってどれくらい経ったのか覚えていない。向かいの古本屋さえ店を畳んでいた。家内が古着屋を覗いている間に,コクテイルのぐるりの棚をチェックして南口に向かった。

線路を越えて高架下を中野方面に上る。16時過ぎ,すでにできあがっている人が違和感なく街並みに溶け込む。パルは立派な佇まいのまま,そこにあった。ライブハウス20000Vがなくなっていたことを思い出す。ライブを見終えて1階の回転寿司屋で飯を食えたのだから,あのころは若かったのだ。吉田達也のライブの記憶ばかりなのは,土日の印象しかないからだろう。平日の仕事帰り,さすがに20000Vには足が向かなかった。

そのままルックを進む。大石書店は変わらない。店内に入ると,その匂いに学生時代のアパートの記憶が蘇る。何の匂いなのだろう。ラベンダーでないことだけは確かだ。相変わらずの品揃えで,ここで何冊か本を手に入れたはずなのだけれど,何だったかすっかり忘れてしまった。アニマル洋子も健在。杉本秀太郎の『洛中生息』(みすず書房)が300円で出ていたので購入した。京都の知人がちくま文庫版を探していたのだけれど,こちらでも間に合うのかわからない。それにしても300円だ。

このあたりまではしばしば自転車で出かけてきた。昔は朝日屋洋品店がめだったのだけれど,見当たらず,閉店したらしい。その頃東側にあった小洒落た古着屋がルックに移ってきたのか,全体華やかだ。それが吉祥寺を横目に見ている感じで乾いている。

弟からショートメールが届く。戸川純とケラのデュエットがよかったという,まあ,いまどうしてその内容なのかわからないけど,とりあえず,あたりの風景を何枚か写真に取り,メールに貼り付けた。「中野から自転車で行ってたところ。懐かしいな」兄弟して同じことをしていたのだ。

赤い公園のサイン色紙が飾られたパン屋で明日の分を購入し,休憩しようと七つ森を探したものの見つからなかった(後で検索したところ,もう少し先だった)。カフェ分福に入った後,駅に戻った。

昨日,会社帰りに高円寺まで,また出かけてしまった。

 

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