政治

昼休みに用事へと出かけたついでに昼飯を済ませてしまおうと思った。手持ち無沙汰だったので,駅前の書店で加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(新潮文庫)を買い,近くの中華料理店に入った。

料理がやってくるまでの間,ページを捲った。

政治は大衆のいるところで始まる。数千人がいるところでなく,数百万人がいるところで,つまり本当の政治が始まる。

というレーニンの言葉が引用されるのを目にし,途端,得体の知れない苦いものが喉を落ちた。

サブカルでしか喩えられないのだけれど,1980年のマンザイブームで「表/裏」が「タテマエ/本音」に置き換わってしまった。「One/The Other」が綱を引っ張り合うパワーバランスなんて,そんなに面白いものではないし,そこに何かの価値が生まれるとも思えなかった。Anotherは初手から敗北宣言の上に立っている。平沢進はそのことを“Goes on ghost”という曲に仕立てた。

加筆せずに第24回参議院選挙当日になってしまった。

投票所を出た少し先の投票者ポスター掲示板前に若い男性の姿。誰に入れるか悩んでいる様子だった。彼の横をかすめしばらくして振り返ると、投票所の方に進むのが見えた。

この暑いなか、足を止め、考える。答え探しではない考えとその姿に憧れる。悩ませてしまう状況になったことを悔いる気持ちはない。

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