選挙

土曜日の夜,ラーメンを食べた後で飲んだ獺祭がきいたのかもしれない。アルバイトに行く娘を5時に起こし,少し眠ってから事務所に出かけようと思ったものの,非道い頭痛だ。結局,昼まで休んでいた。そこから洗面をして,投票を済ませ,事務所に向かう。ブルーナの『意味の復権』(ミネルヴァ書房)が5月に復刊されていたことを思い出し,行きがけに芳林堂書店で探すものの見つからない。すでに売れてしまったのならいいのだけれど。春先から棚を眺め,器が残っただけなのかもしれないと感じることがある。

事務所でたまった依頼書を書いたり,メールの返事をしたり。そんなことをしていると19時近くになってしまった。読みかけの木田元『反哲学入門』(新潮文庫)は面白い。本来ならば岩波新書あたりに入っていてよい内容と語り口だ。これが新潮文庫に入ったのが奇妙とはいえ,ちくま文庫に放りこまれることを思えば,数倍マシだろう。

芳林堂書店に置いていない本をブックオフで見つけたことが何回かあったので試しにのぞいてみた。結局,『意味の復権』はなかったものの,見当たらないそのことに少しだけホッとした。

喉がかわいたのでビールを飲んで帰ろうと思い,店を探す。しかし,高田馬場には1人で入るとなると手頃な店が少なくなってしまった。結局,チェーン店の定食屋で中ジョッキとフライドポテト+ソーセージ。470円というのはかなり安い。夕食の時間帯なので,友だち同士の若者で混雑している。

「部屋に戻ってもテレビは選挙速報ばっかりでつまんねえな」

「早く寝ちゃおうかな」

そんなやりとりが聞こえてきた。青年が数人,カウンター席に横一列並んで座る。

だったら,美少女戦略投票ゲーム(そんなのあるのかどうか知らないけれど)を通して,この理不尽な選挙戦に巻き込んでしまうというのはどうだろう。いったい何のために。いや,この際,それでいいのではないかと,思った。その理由がわからない。

家に戻り,家内と娘と選挙速報を見ながら夕飯をとった。

だいたい「アベノミクス」って,「ノ」が日本語なのか英語なのかわからないのだよ。「あべのハルカス」はわかるけれど。「アベノミクス」という言葉を,だから使っている時点で「アベノミクス」なるわけのわからないものに絡めとられてしまっているに違いない。なんでもプロセス評価抜きのアウトカム指向らしいから,そんなものにいつまでも,つき合わされたら,底なし沼だ。まずは「アベノミクス」という言葉を死語にすることから始めるのがよいと思うのだ。

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