江古田


会社帰りに江古田に行った。改札を抜けると,いつも雑多な記憶がよみがえる。

今はブックオフくらいしかなくなってしまったものの,昔は南口を出て左手に1軒,ブックオフの向かいにも1軒の古本屋があった。新江古田へ向かう通りにもあったし,踏切を越えたところと,練馬総合病院へ行く途中にも古本屋があった。「粗食」で名の知れたプアハウスの近くには楽譜屋だけでなく,古本屋もあった気がする。

よく利用したのはブックオフの向かいにあった店と南口を出てすぐの店だ。ブックオフの向かいにあった店では中井英夫の追悼写真集『彗星との日々』を買ったはず。南口すぐの店では蚊を追い払いながら外の均一棚を眺め,多くは家内の買い物待ちの時間に入った店内では文庫本がとても良心的な値段だった。記憶のなかでのことだから,実際どうであったかは不確かだ。

娘が生まれた翌日。その雪の夜に,昌己とイラストレータと3人に終電まで江古田コンパで飲んだ記憶はたぶん死ぬまで抱えていくに違いない。好き好んで終電になったわけでは決してなく,店の主人(マダム)に飲まされたからだ。このときの顛末は何度か記した。

国内唯一とされるイスラエル料理店,チョコレート餃子などというものまでメニューに並んでいたLEE。たかが四半世紀程度の記憶にすぎないものの,魅力的な店がいくつもあったし,幸いそのうちのいくつかは今も店を開いている。

北口の古本屋を久しぶりに覗くつもりだった。古いミステリ小説が並ぶ店だ。ところが記憶にある店の場所はシャッターが下りたまま,看板も見当たらない。閉店したようだ。こういう光景にあまり驚かなくなった。

ところがブックオフで数冊本を手に入れてから先,困ってしまった。軽く飲んで帰ろうと思って店を探しながらぶらぶらしたものの,適当な店がない。江古田で店探しに困るとは思ってもみなかった。結局,椎名町まで中途半端に戻り,古本屋を一軒覗いてから駅前で飲んだ。

 

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Top