FULLNESS OF WIND

朝,娘を起こし一緒に朝食をとる。先に出て,ひばりヶ丘まで電車で向かう。

病院の待合室で家内と待ち合わせて病室へ。義父は点滴交換のようで,しばらくナースステーション横に間仕切りされた面談室で待つ。しばらくして病室に入ると,一昨日よりは落ち着いたように見えるものの,また一回り小さくなったような感じがする。声に張りがあり腹の響きを感じる。さすがにこの力強さにはかなわないと思いつつも,それゆえホッとする。

医師が病棟にあがってきたので,先ほどの面談室で説明を受ける。

義父から,さしあたって済ませたい書類の発送について聞く。車のキーを預かり,駐車場に止めたところから車検証と免許証をもってくる。この病院は継ぎ足しながら増床,機能対応してきたため,迷路のように病院の全体像がつかめない。

書類を携えて病室まで上がる。オリンピックの開会式が始まったことを伝えたものの,だるさがつらいので観る気にはなれないという。入院書類へのサインするとき「おかしいなぁ,なんだか力が入らないんだ」と言われると胸が詰まってしまう。子どもの頃から習字に馴染み,教員時代には書道も担当していたので,字の書き方にはとてもうるさい人だ。そう思うだけ。そこから先,人の身にはなれないなと思う。

義父の病室を後にし,入院書類を書くために院内の喫茶店に入り,コーヒーを頼む。事務的なことを家内は言っただけなのに,私は途端,胸が詰まり,泣いてしまう。返事にならない。困ったものだ。テレビではオリンピックの開会式が華々しく映し出される。言葉を出せないものだから,スマホでツイートをチェックする素振りしかできない。

何とか深く息をつく。

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