網野史観

宮崎駿の「もののけ姫」がテレビで放映されていたので,娘と一緒に観た。

何年か前に同じように放映されたときに観たような気もするが記憶にないので,初めてのことだ。

昔,エヴァンゲリオン放送後,はじめてのブームが起きたとき,「クイックジャパン」で庵野秀明インタビュー記事が掲載された。大泉実成と竹熊健太郎がインタビュアーなのだけれど,自分語りがあまりに多すぎて,その箇所は辟易したものの,その分タイムリーな感じが出ていた。雑誌の記事は本来,そういうものなのかもしれない。阪神淡路大震災とオウム真理教事件から時間が経っていないことも加わり,1996年あたりというのは少し様子が違う空気感があったことを思い出す。

網野善彦の本をポツポツと読み始めたのは平成になってからのことだと思う。宮田登との対談集『歴史の中で語られてこなかったこと』は,面白くて,何度か読み返した。冒頭の語り下ろしに「もののけ姫」の話題が登場する。そのことだけは覚えていた。

「もののけ姫」の冒頭から数十分,網野史観にこれは忠実すぎるのではないか。よくもまあ,このテーマでヒットしたものだと,ビール片手に観ながら思った。

「クイックジャパン」のインタビューで庵野は当時,公開前だった「もののけ姫」に期待していると,独特のレトリックを通して語っている。

20年前の映画についていまさら言ってもしかたないけれど,「カリオストロの城」と「風の谷のナウシカ」を押さえておけば宮崎駿はそれでいいという感想は変わらなかった。

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