Timing


タクシーで40分ほどは決して遠い距離でない。

朝6時。家内の携帯電話に病院から連絡が入った。夜中に胃内容物の逆流があり,その後,呼吸が止まったという。アルバイトのシフト交代を終えなければならない娘を家に残し,家内と二人でタクシーに乗った。週末,7時前の下り車線は,それでもときどき少し滞る。

その車内であれこれと考える。本人は家族葬を考えていたので,台風の接近に合わせて,まずは身内だけで葬儀を済ませてよいかもしれない。先日,渡された資料一式には,葬儀を依頼する会社のパンフレットも入っていた。義母の葬儀の際,世話になった会社だ。そして,曲などをダウンロードし,そのままにしてあるKindle fire。どうして私は,こうもタイミングが悪いのだろう。この「ほんの少しの差で間に合わなかった」感は,ある時期から私についてまわっている。もちろん自分の責任だ。

病院で義父を看取り,家内の妹一家,娘を待つ。その間,葬儀会社に連絡をとる。こんなとき,携帯・スマホは助かる。

9時半過ぎ,葬儀会社がやってきて,義父を車に乗せると一度,自宅に戻った。

病院を出るとき,病棟の看護師長さんが「玉子かけご飯がお好きだとおっしゃって,いつも,食べたいなあと。私たちも食べさせてあげたかった」。反則なのだけれど,こんなとき,物事は杓子定規に済まされないことくらいわかっている。言葉が胸にグサリと刺さる。涙腺とは,どこがどういうふうにつながっているのだろう。

夏場なので万が一のことを考えて,家には入らず,そのままお寺に向かった。そこは僧侶が常駐(?)していないお寺で,にもかかわらず墓地は随時分譲を続けている。義父は一家の墓を20年ほど前,ここに決めたのだ。葬儀会社と通夜・告別式の日程などを調整する。すぐに僧侶の都合がつかないため,週明けになった。

その後,納棺師が様子を整え,僧侶に枕経をしていただく。

通夜・告別式に関することで決めなければならないことを整理し,手続きできるものは終えておくことにする。

いつの間にか午後2時になっている。妹さん一家の車で近くのファミレスまで行き,遅めの昼食をみなでとる。「末裔」がすべきことは,こんなふうに進んでいく。

池袋で休み,夕飯をとって家に戻ったのは午後8時過ぎだった。長い一日が終わる。

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