ポンピドゥーセンター展

昼まで事務所で仕事をした後,池袋で家族と待ち合わせ,東京都美術館にポンピドゥーセンター展を見に出かけた。

イブ・タンギーとフランシス・ベーコンが来ていなかったのが非道く残念だけれど,1年1作で20世紀を俯瞰する企画はとても面白い。本家では,こういう切り口で展開するのは難しいだろう。1945年のブランク,1950年,60年代がぐるりと見回せる配置がポイントだろうか。特に後者は矢作俊彦じゃないけれど,フランスも戦争に勝ちはしなかったのだなとしみじみとしてしまった。

1991年だっただろうか。はじめてポンピドゥーセンターに行った。このサイト内に何度か記したことだけれど,また思い出してみたくなった(「また,思い出してみたくなる」というのは妙な言い方だ)。

その年の夏,はじめて自分ひとりで担当した本はなかなか進まなかった。途中に共同で進行する企画が入ったりして,刊行のめどが立たない。おまけに上司たちとは折り合いが悪い。昼飯を食べながら同僚が口にする上司の悪口を聞くのに辟易としはじめた。唯一順調だったのは,昌己や徹とスタジオに入って曲をつくることぐらい。会社帰りに中野や高円寺をぶらつくのが日課だ。あれほどにぎやかだった20代は折り返しを過ぎたのに先が見えない。

当時,弟が仕事をしていたミラノを覗いて,パリ経由で帰ってくる旅行を思い立った。夏が始まったばかりの頃のことだ。

ローマから入ってミラノに着いたあたりまでのことは以前,このサイトのカテゴリー「記憶とめぐる冒険/イタリア」に少しまとめた。

で,夜行電車でミラノを出発したところから,あれこれ思い出してみることにする。(つづきます)

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