風俗小説

夕飯のときに新聞を見るまで,すっかり木曜日と勘違いしていた水曜日。

先週から続く偏頭痛が治らず,風邪気味なので,早めに仕事があがり,近くのクリニックで薬をもらって帰る。19時には家に着き,薬を飲んで2時間ほど眠った。夕飯をとるとき,テーブルの上に置いてあった新聞を見て今日が水曜日だと気づいた。仕事のあいだ,今週はあと一日しかないからと焦っていたのだけれど。

週末に買った横溝正史の小説を,探偵小説だとか推理小説だとかいう前に,まずは風俗小説として読んでいるのかもしれないと思った。小説としての面白さがあるとするなら,そんなところにしかない/そこにあるのだろう。埴谷雄高の『死霊』の第三章あたりで首猛夫が歩く工場地帯の描写や,椎名麟三の『重き流れのなかに』のトタン屋根の描写よろしく,戦後すぐの光景を読む愉しさを感じたのに,それは似ている。

すべての小説を風俗小説として切り取って,解説するような試みはとても面白いと思う。

横溝正史の小説なんていうものはトリックよりも,会話や風景描写をデータベース化していったほうがよいと思うのだ。以前,松本清張の小説と昭和30年代を対比させた新書(藤井淑禎『清張ミステリーと昭和三十年代』)の試みは面白かった。恣意的になりかねないので,取り組むとなると難しいのだろうけれど。

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