ぼくのおじさん


夜は日赤で仕事の打ち合わせがあるため,夕方,事務所を出た。以前はほとんど渋谷経由バスを利用して日赤に行っていたのだけれど,東急線地下化以降の工事のため,バス停が移動した。駅の動線もときどき変わるのが面倒くさくなり,少し前から恵比寿経由バスを使うことが増えた。

子ども頃,渋谷という町は,生地を買いにいく親について出かける町,調布のおばさんの家に行くときに降りる駅という印象しかなかった。

学生時代に渋谷公会堂はじめ,ラ・ママ,ライブイン,クアトロといったライブハウスに通うようになってようやく土地勘が出てきた。ただ,その頃,どうしたわけか公園通りは山手線の内側にある印象だった。つまり原宿や恵比寿,広尾あたりと地図上でまったくつながっていなかったのだ。東京の繁華街は他の町とは違い,そんなふうに地図を区切って記憶してしまうことがあった。なかでも渋谷については自分がもっている方向感覚と実際の位置関係の乖離が非道く,その折り合いをつけるのに実のところ,半世紀近くかかった。

行きは恵比寿経由,帰りは渋谷まで行って,カウンターしかないカレー屋で夕飯をとった。

はじめて読んだ北杜夫の本が旺文社版の『ぼくのおじさん』であったことを思い出した。ずっとそう記憶していたはずなのに,このところ『どくとるマンボウ航海記』(角川文庫版で)が最初だと思い込んでいた。

『ぼくのおじさん』は,小学校のとき,ときどき配られた本の購入リストに入っていて,どうした理由か覚えていないのだけれど頼んだはず。当時はポケット版のオールカラー図鑑のシリーズが人気で,昆虫採集をして遊んでいた私は何年か続けて『昆虫』図鑑を買った。仮面ライダーの影響か,その頃,子どもに『昆虫』図鑑は人気があり,今では信じられないかもしれないけれど『幼虫』だけで一冊になって発売されていた。もちろん『幼虫』も手に入れた。

『ぼくのおじさん』が映画になるという。とりあえずは観る予定。

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