一箱古本市

11月の「みちくさ市」への出店申し込みを済ませた。ツイッターで宇都宮の「オリオン・一箱古本市」の案内を目にした。去年もどうしようかと考えたことを思い出す。仕事の様子をはかりながら,応募することにした。11月に2回,一箱古本市に参加する。

オリオン通りは高校時代の通学路だった。片道40分ほどの距離をよく往復したものだと,ときどき思う。片道40分を通うにはバスを乗り継いでいく以外,方法がなかった。美術部の友人と朝は待ち合わせ,帰りは部室から駐輪場へと向かった。

この前,久しぶりにその友人とSNS経由で,当時の話をした。途中で,レコード店や本屋・古本屋,遅くなったときはラーメン店で食事をして帰ることも少なくなかった。オリオン通りにはまだ店がたくさん開いていて,賑やかだったので,自転車で通り抜けるのはやっかいだった。行きは下り坂だけれど,帰りは登りになるのも面倒だ。ただ,宇都宮市内は,北西から南東に向かい,どこをどう通っても坂道がある地形なので,愚痴を言ってもしかたない。

部活やクラスでときどきは話の行き違いになることもあった。そんなときは40分一言もしゃべらず,それでも列をなして帰った。当時はそれがあたりまえだったのかもしれない。

友人が増え,行動範囲つまりは自転車で闊歩する範囲が広がったのは高校2年の頃だ。土曜日の午後は制服のまま,あちこち出歩いた。日本サンライズアニメ好きの友人は午後3時を過ぎた途端,家に戻ったけれど。

大学時代にひとり暮らしが始まった。大学4年のとき,両親が都内に転勤することになったので,以来,30年近くの間,宇都宮に出かけたのは合宿免許を取りにいったときと中学時代の同窓会の2度だけ。昨年,仕事帰りに宇都宮に行くまで,四半世紀が過ぎた。

一度行ってしまうと,どこかで懐かしさが頭をもたげてくる。また,宇都宮に出かける。なにがしかの失望をともなって帰ってくるのだろう。

娘が小さい頃は,保育園や小学校を通して,地域とのつながりがあった。地域との関係が遠のいた頃,一箱古本市のおかげで,近場とのつながりを意識するようになった。今度は,昔過ごした地域に出かけるきっかけだ。ありがたいものだ。

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