天才病

少し前のこと。NumberOneMusic経由で仮想硬貨を稼がないかと持ちかけられた。「ゲームに参加しない?」というような内容のメールだった。正確に記すと,四半世紀前に録りためた曲の一つを称賛し,サイトに参加しないかというものだ。そのサイトで仮装硬貨を使って曲をプロモーションする。他人の曲をSNS経由で紹介するとコインを得ることができ,もしくはドルで購入することも「できる」。まあ,この場合の「できる」が意味するものは,購入しないとプロモーションを続けることは「できない」なのだけれど。

四半世紀前に録音したデータがMyspaceとSoundcloudに置いてある。メールの主は,どうやらMyspaceの音源を聴いたようだ。Myspaceには十数曲アップしてから10年以上経て,アクセス数はトータルで100にも満たないのだから,盲亀の浮木のような偶然だ。

NumberOneMusicが何を意図しているのかわからなかった。後に検索してみたところ,結局,新手の詐欺サイトのようだ。もちろん,お金を出して自分の曲をプロモーションしようという人間にとってはまっとうなサイトかもしれないが,その後のチャートアクションをみるかぎり,届く反応はほとんどサクラからのもののようだ。

「天才病患者」という曲は,ドラムが昌己,ウクレレが徹,ボーカルとトランペットが私。ベースは別の曲(「TG」)から昌己が弾くベースラインを引っ張ってきて被せたものだ。メールの主はこの曲をすすめてくる。

とりあえずバンド名でアカウントを作成し,Soundcloudにアップしてある曲と同期をとった。ところが,NOMでは無料でアップできるのが3曲程度らしく,「天才病患者」の順番まで行く前に容量が埋まってしまった。不要なデータを削除して,「王様の気分」「蛇を踏む」「天才病患者」の3曲をあげることにした。

その間のくだりを昌己にメールしたところ,「天才病患者」を録音してから25年以上経っていることに気づいた。25年といえば,生まれたての赤ん坊が成人式をとっくに終えているだけの時間だ。

で,本日付,日本のオルタナチャートでCOLA-Lが4位に入っている。

このあたり(チャート変更によりリンク削除)

無料で3曲アップして,うそっぱちのリアクションを眺めるのは,決して気持ちが悪いものではない。一度くらいそんなチャートを眺めたっていいだろう。でも,その先に進むのは止しておいたほうがいい。たぶん,ほぼフィクションなのだから。

その後,バンド名を“Deceivers”にして更新,先にアップしたデータはすべて削除した。

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