戒厳令の夜

家内と昼をとって,スマホの契約変更のため,auショップに行く。奇跡的に空いていて,10分も待たずにカウンターに着くことができた。それでも要件を済ますまで30分程度はかかる。娘と待ち合わせという家内と別れ,久しぶりに高田馬場から小滝橋経由で落合郵便局まで歩く。子どもが小さい頃は,小滝橋あたりまで買い物や散歩に出かけたものの,ここ7,8年,年に1,2度くらいしか行っていない。景色はあまり変わらないな。郵便局で用事を終えて,そのまま東中野まで歩く。ブックオフで五木寛之の『戒厳令の夜』(上・下),映画公開時の帯がついていたので,つい購入。これまでセットで3,4回購入した気がする。中井まで行き,駅前で休憩する。家に戻り,本を読みながら,ついうとうとしてしまう。家内と娘と待ち合わせて,夕食をとりに外へ出る。寒いけれど,風は少し収まった。

『戒厳令の夜』は,たぶんはじめて読んだ五木寛之の小説だ。1970年代前後の作品はいくつか読んだものの,結局,最初の休筆(だったかな)から復帰後に書かれた小説で読んだのは『風の王国』くらいだと思う。どちらもサンカをキーワードに描かれた小説。

雑誌「マージナル」が創刊から数号通してサンカをテーマに特集を組むなか,五木寛之が座談会に登場したことがある。『戒厳令の夜』を最初に読み返したのはその頃だったと思う。

映画を見たのは大学時代だった。アメリカン・ニューシネマよろしく,ラストが衝撃的で,とにかく後味が悪い。原作はそれほどではないのだけれど。制作陣をみると,ああなるのは仕方ないのだろう。希望も何もない。

ときどき読みたくなるのは,『戒厳令の夜』『風の王国』が物語として,とても面白いからだ。『風の王国』は,映画「幻の湖」の原作のはずが紆余曲折の後,あんなふうになってしまったのではないかと想像したことがある。五木寛之の小説家としてのイメージは,だから初期の短編から業界ものを経て,サンカ小説に至る物語作家という,たぶんとても限局したもののままなのだ。

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