本を買う

娘と家内は夕飯を済ませて帰ると連絡があった。

20時くらいに事務所を出た。丸ノ内線を帰宅とは逆方向に乗る。後楽園でおりた。改札を出て左に向かう。春日通りを渡り,そのまま進む。あゆみBOOKS小石川店が見えてくる。

あゆみBOOKS小石川店の閉店を知ったのは,少し前のことだった。日販の傘下に入ったあたりから雲行きは怪しかった。当時の書店員さんのツイートで,厳しい労働環境に置かれた様子は私にでも理解できた。

店内に入ると閉店の挨拶文が張ってある。開店から12年だという。出版業界がてっぺんを打ったのは1997年のことだったはず。ということは,開店時点から後退戦のなかにあった。都営新宿線が開通した早々,瑞江駅前にできたあゆみBOOKSとは違うのだ。にもかかわらず,この場から生み出されたやりとりはいくつもある。

補充されなくなった棚の背があちらこちらに見える。そこをまた,新たな企画につなげる。しかし,昨年の芳林堂書店高田馬場店の消耗戦とは全く違う意味で、補充されることのない棚はなお,メッセージを発する。

あゆみBOOKS小石川店で本を買った。純文学というやつだ。

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