ベトナム

校正と座談会の原稿整理で時間が過ぎる。18時くらいに会社を出た。丸ノ内線新大塚駅で降りて大塚のほうまで歩く。新大塚駅前の書店がいつの間にかセブンイレブンに変わっていた。給料未払いでニュースになったカレー店も別の店だ。夕飯をどうするか考え,久しぶりにミャンマー居酒屋に入ってみようと思う。

綺麗になったと思ったら,ここもいつの間にかベトナム料理店に変わっていた。バインミーフォンという店名だから高田馬場のバインミーの系列かと思ったら,バインミーってコッペパンに具を挟んだサンドウィッチのことのようだ。

テーブル席は混んでいるのでカウンターに座る。左端に文庫本を読むおじさんがいた。オーダーを撮りにきた男性は最初から困ったような表情を浮かべる。そこにおじさんの加勢が入る。「女主人が買い物に行っていて,ほとんどできるものがないんだって。酒はベトナムのネプモイのロック,つまみはこれだけ」といって,焼いたソーセージを指さす。

選択肢がそれしかないのだから,同じものを頼む。なんとはなしにそのおじさんと話をしながら酒を飲むことになった。

67歳の設計技師だというおじさんは,30年ほど前,仕事でタイに行って依頼,東南アジアの料理が好きになったのだそうだ。スペインの社員旅行の話に寄り道しながら,建築の話をするので,聞き役に徹した。

4人連れがやってきたタイミングで,それまでカウンターの両端に腰掛けていたのだけれど,席を詰めざるを得なくなった。ネプモイも無くなってしまい,日本酒を飲みながら,あれこれ話す。夕飯を食べにきたはずが,結局,焼いたソーセージをつまみに2時間くらい話していた。

そこに女主人が帰ってきた。といってもまだ20歳代にしかみえない。料理ができるかと思ったら,結局,きゅうり1本だけはあるというので,それを切ってもらうことにした。

客は私とおじさんだけになったあたりから,Youtubeをカラオケ代わりに使って,歌が始まった。おじさんは陽水・拓郎世代だそうで,そのあたりを歌いはじめた。私は「ユエの流れ」「青年は荒野をめざす」「イムジン河」。酔っぱらっていたのは承知の上,なんであんな曲を入れてしまったのだろう。

店を出たのは23時。結局4時間,ほとんど何も食べずに酒を飲みながらおじさんと話していたことになる。当然,かなり酔いがまわってしまった。

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