基本

「ホームページのつくりかた」とか「WordPressの基本」などという本が嫌いではない。新古書店や書店のコンピュータ関連書籍の棚をときどき眺め,年に一,二冊くらいは買ってみる。ただ,自分のやりたいことが十分に書かれた本はほとんどないので,読んだそばからセキュリティやプラグインなどをチェックするくらいに使うだけで,本筋にはあまり関係ないことしばしばだ。

ここ1か月で,HTML/CSSとWordPressについての本をそれぞれ1冊買った。最近の本は,B5変型判,カバー付きカラー,2,500円前後という仕様は変わらないものの,文章量が多いもの,文章中心で読むものが増えた。一時,流行った箇条書きスタイルの本は今も新刊が出ているけれど,文章のほうが結果,わかりやすいということなんだろう。

週末,外に出たときはリュックサックにWordPressについて書かれた本を押し込み,吉祥寺の井の頭公園に続く道で家内が買い物している間などにページを捲っていた。

要は全体を意識しながら個別を理解するには,情報がいくら重複していようが,箇条書きよりも,文章のほうがふさわしいのだろう。そしてまた,そうやって書かれた本は,読めてしまうから不思議だ。

Webで検索すれば,必要な情報はある程度得られるにもかかわらず,本を買って読むのは,記憶に対する欲求ゆえではないかと思う。そしてまた,その欲求は,あるときから,本を読むことの大きな目的になった気がする。

矢作俊彦が書く文章をすべて記憶したいという欲求は20代からあった。ところが,40歳を過ぎ,忘れることが多くなると,あれもこれも記憶に留めておきたいという欲求が強くなった。いきおい同じ本を2度3度読むようになる。そうやってようやくアウトラインくらいは記憶に残る。そうしたとき,箇条書きは繰り返し読めないのだ。何せ,つまらないもの,箇条書きだから。

とりあえず,ルナールの『博物誌』は,ここでいう箇条書きではないとしておかないと,話がまとまらないが。

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