サード・プレイス


蒸す日,蒸す夜続き,暑さまで加わって,ひたすら体力が消耗していく一日。

恐ろしく高い不快指数,猛暑のなか,午後は打ち合わせに出る。往復1時間半程度でぐったりしてしまう。20時過ぎに帰る。日が落ちてもまとわりついてくるような空気だ。

マイク・モラスキー『日本の居酒屋文化 赤提灯の魅力を探る』(光文社新書)をこの前,飯田橋のブックオフで買い,ざっと一度読んだ。読み返しながら,自分にとってのサード・スペースはどこだろうと考えた。

学生時代,校内で友人を探すよりも,駅の向かいに建つビル2階にあったファミレスをまず覗いた。昼時であれば喫茶談話室に行ってみる。または書店の雑誌,マンガコーナーで立ち読みする姿をざっと追う。学年が上になるにつけ,友人個々のテリトリーが広がり,結局,校内で見つけざるを得ない状況に陥った。当時,携帯はないし,私に至っては電話さえ引いていなかった。場所であたりをつけ,友人を探すしかなかったのだ。

仕事をするようになってから,結局,行きつけの酒場をつくることはなかった。酒を飲むより,CDや本・雑誌,ライブや展覧会,映画に費やすほうが圧倒的にプライオリティが高かった。

家庭をもってから,家内や娘と一緒に懇意になった食堂は何軒かある。それでも,同じくそこに通う客まで含めて親しくなったかとなると,そうともいえない。家の隣にあるパンと喫茶店を兼ねたスペースは,実はサード・プレイスとして入っている気もするが,あくまでも他の店と比べてという意味であって,それ以上のものではあるまい。

高田馬場の夢屋,中井のサワディー,上落合にあったPippi,新井薬師の五香彩館あたりは,店主とは親しくなった。特に五香菜館のおじさんとおばさんは,上高田でほぼ唯一,昔,私がそこに暮らしていたことを記憶してくれている方だ。

しかし,どこもサード・スペースではない。というよりも,どこか通りすがりの居心地のよさを選んでしまうのだろうなと思う。

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