訃報

夕方から柳原で打ち合わせ。日暮里経由で京成関屋に降りる。当然の暑さ。

18時に終え,会社に戻らず直帰。北千住駅前でハッピータイムに釣られて小一時間休憩して日比谷線から東西線に乗り換えて高田馬場に。ブックオフで3冊買って帰る。

午前中に山野浩一の訃報。ツイッターでやりとりしている人の何人かは共通して「メシメリ街道」,それも徳間文庫の『’72年日本SFベスト集成』収載で山野浩一作品に遭遇したというのが面白い。

高校時代,芳弘にすすめられて彼から出たばかりの文庫を借りた。他の短編の記憶をかき消すくらい「メシメリ街道」を読んだインパクトは大きかった。

それから数年かけて『X電車で行こう』は新書館版,早川文庫版,『鳥はいまどこを飛ぶか』も文庫,新書を手に入れて読んだ。『殺人者の空』や『ザ・クライム』も神保町で数百円出せば買えた頃のことだ。山野浩一の小説は全体,荒涼とした話が多いものの,独特の手触りがあって,見つけると読みたくなってくる。

北越谷の駅前にあった本屋で『花と機械とゲシタルト』を見つけたときのうれしさを今も覚えている。精神科病院でのアルバイトにつく少し前で,反精神医学について文献を集め始めていた頃のことだった。ごくふつうの本屋だったけれど,マンガ雑誌コーナーには「コミックばく」が並び,中井英夫の『名なし森』もここで手に入れた記憶がある。昭和50年代の終わりから60年代がそのなかばで終わる頃まで,町中にはそんな書店があたりまえにあったのだ。

『花と機械とゲシタルト』が精神医学からのアプローチだとすると,望月峯太郎の『東京怪童』は脳神経医学から,それぞれ重なるテーマへのアプローチをしている。

何年か前,Facebookで友だち申請に応えてくださって以来,山野さんのサイトとFacebookを通して近況は伝わってきた。数日前,かなり厳しい状況だというポストがあった。それでもこんなに早く亡くなるなんて。

昨日,ツイッターでやりとりした文芸評論家の方に伝えたのは,日本のすばらしい小説家に対する評論を読みたいということで,とにかく重要な国内小説家に関する評論が少なすぎるのだ。

山野浩一はもちろん,とにかく矢作俊彦論を誰かまとめないだろうか。まあ,Webで知るだけでも矢作俊彦ファンの濃さは並大抵のものではないので,ありきたりの評論では見向きもされないかもしれないが。

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