病気


夕方打ち合わせのため,横須賀線に乗る。宇都宮あたりで人身事故があり,遅れているという湘南新宿ラインの運転状況が読めなかったのだ。

2時間ほどあれこれ打ち合わせを済ませた後,今後のスケジュールを確認していると,8月末にがんが見つかり,今週説明を受けるということをうかがう。がんはいまや2人に1人がかかる病気だ。とはいえ,こんなときの対応に慣れることなどありえないと思う。

東口を降り,マッサージ店を探す。非道い肩こりは持病のようなもので,父親が残したものを片づけに印西のマンションに通った頃から,ときどきマッサージ店にかかるようにしている。ビルの4階に見つけ飛び込んだ。

中国系の店主が現れ,すぐに施術できるという。着替えて横になる。肩こりの非道さに驚かれるのはいつものことだ。ふつうはほとんど話をせずに1時間,横たわるのだけれど,ここの担当者は途中からいろいろと話しかけてくる。

――仕事は何をしているのか。

本をつくっている。コンピュータに一日向き合っているので肩がこる(それだけの理由ではないだろうけれど)。

――どんな本をつくっているのか。

(細かく話すと面倒くさいので)医者が読む本。

途端,言葉が多くなった。曰く,自分はC型肝炎の治療のため使ったインターフェロンの副作用で糖尿病になってしまった。いまはインスリンを打つような状況だそうだ。

――C型肝炎,治りますか。

新しい治療薬ができたようだけれど。

――糖尿病が非道くなるので,インターフェロンはやめた。糖尿病は治りますか?

それはむずかしい。食事,運動,ストレスをためないなどセルフケアして,非道くならないようにすることはできる(あたりさわりのない話ばかりだ)。

主人は,西洋医学は対症療法でしかないから,東洋医学でからだを整えたいという。にもかかわらず,肝炎を治療するにはどこの病院がいいか。途中から,延々と同じ箇所を押しながら話は続く。マッサージを受けにきたのか,医療情報を伝えにきたのかわからなくなってきた。まあ,床屋談義だと思えばいいのだが。

ビルを出ると小降りの雨だった。駅まで歩く。品川で降りるつもりが,東京まで行ってしまい,改装後,小奇麗になった地下に少し戸惑う。1階まで延びるエスカレータを見つけ,中央線で新宿まで出た。小降りの雨は続いているようで,傘をもたずに出てきた自分を呪いながら家路についた。

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