ああ,1988年のインクスティック芝浦での,後にライブビデオ「三界の人体地図」に収められたライブのときも,始まる前はこんな雨だったなと,そのときも一緒に行った昌己と話していると,開演の19時まであと数分。にもかかわらず,相変わらず10番ずつ呼び入れている。困ったものだ。
2000番台を越えたあたりから,それでも20番ずつになり,会場に入ったのはたぶん定時ぴったりころだったと思う。ドリンク券をジントニックに変えて,フロアに入る。前にくるりを見にきたときとほとんど変わらない客の入りだ。これで3日間ほぼソールドアウトにしたのか,と妙なため息をついてしまった。
ミキサーのほぼ後ろに陣取り,中央からステージ全体がきれいに見える。
セットリストは後で貼り付けることにして,今回,平沢のライブを観ようかと思った理由は単純に,平沢以外のミュージシャンがステージ上に3人いるからだ。特にドラマーとの共演は20年ぶりだという。常時演奏するベーシストとの共演となるとそれ以上なのだけれど,今回,チェロはいたもののベーシストはいなかった。
ドラマーとして呼ばれた上領亘は改訂P-MODELに在籍していたけれど,ちょうど私がP-MODELのライブを観にいかなくなった時期なので,演奏を観るのは初めてだと思う。改訂P-MODELお披露目の日比谷野音の日,ちょうど,日比谷公演にいたのだけれど,音漏れを少し聞きながら,家内と夕飯を食べに行ってしまったことだけは覚えている。
ライブは「オーロラ」から始まった。途中,平沢がギターを背負ってソロに入る。ボディに重心を置き,足を交差させながら崩れる感じで回転する。凍結前のP-MODELで何度も見たあの動きだ。63歳の平沢のギターソロを目の前で見ているなんて,当時の私は想像もしなかった。
アルバム「白虎野」の曲は出来がよいので(まあ,アルバムを聴いてしまえば,どれもよい出来になってしまうのだろうけれども),「確率の丘」あたりを生ドラムで聴けるのはたのしかった。平沢のリードボーカルもデータなのではと思っていたら,本式に歌っていて(コーラスは別として),よく声だ伸びるなあと感心してしまった。
私より遥かに若い層が客の中心だ。曲によっては振付をまじえて,まあ盛り上がる。「サイボーグ」が演奏されたのだけれど,アルバム「カルカドル」がリリースされたときに,まだ生まれていないファンだって少なくなさそうだ。歳をとってからどれだけファンを惹きつけたのか,それだけはつくづく感心してしまった。
途中の小芝居ビデオは,西口地下にあった頃の新宿ロフトでのNight’s Bravo!の最後を思い出してしまった。相変わらずこういうのが好きなのだな。
まったく久しぶりに平沢のライブを観たものだから,それはとてもたのしかった。ただ,もろもろを引っ剥がした後に立つ骨格をやはり観たいと思うのだ。
セットリスト
- オーロラ3
- 確率の丘
- CODE COSTARICA
- アディオス
- 灰よ
- 聖馬蹄形惑星の大詐欺師
- 生まれなかった都市
- パレード
- 人体夜行
- Siam Lights
- トビラ島
- 現象の花の秘密
- アヴァターアローン
- archetype engine
- 回路OFF回路ON
- サイボーグ
- ホログラムを登る男
- 白虎野
- Wi-SiWi(アンコール)
- 鉄切り歌(アンコール)