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矢作俊彦の短編集『死ぬには手頃な日』を読み終えた。「バウワウ」から「死ぬには手頃な日」まで読み,「A DAY IN THE LIFE」にもどって「バスルームシンガー」で一冊読んだことになる。

平沢のライブに行って,矢作俊彦の小説を読み,坂口尚や倉多江美の漫画に目を通す。昭和60年代の始まり頃とまったく同じようなことをしている。自分であまりの進歩のなさに愕然とする。

その後,『舵をとり 風上に向く者』を読み始めたところで,雑誌に短編連載という形式(先にまとめられた『ブロードウェイの自転車』も同様だけれど,掲載誌は2誌にわたっている)は,はたして一般的なのだろうかと思った。村上春樹が「イン・ポケット」に『回転木馬のデッド・ヒート』にまとめられる短編を時々掲載していたときにリアルタイムで読んでいたものの,連載という感じは受けなかった。推理小説やSF小説であれば,最終話にどんでん返しを仕込み「連作」風に仕立てることもできるだろう。

『ブロードウェイの自転車』はアーウィン・ショーやオー・ヘンリーのようなニューヨーカー短編集,『舵をとり 風上に向く者』『夏のエンジン』は自動車をテーマにした都市小説というくくりは可能だけれど,いつかヘミングウェイでいうところの“ニック・アダムス物語”に相当する小説の受け皿として用意されたと位置づけたほうがピンとくる。

すでに発表された矢作俊彦の小説を,ニック・アダムズ物語に準じて,6歳頃/16~20歳/20代後半~30代くらいのくくりでまとめることが無理ではあるまい。と,書きながら,これは矢作俊彦自身で,「ウリシス911」としてまとめた作業を再びばらすような所作かもしれないと思った。もちろん,「ウリシス911」はいまだ単行本として陽の目をみていないものの。『私を月まで連れてって』さえも。

  • TOUR,TOURER,TOURING(『舵をとり 風上に向く者』)
  • ボーイ・ミーツ・ガール(『夏のエンジン』)
  • 暗黒街のサンマ(『東京カウボーイ』)
  • 鉄とガソリン(『舵をとり 風上に向く者』)
  • 愛と勇気とキャディラック(『舵をとり 風上に向く者』)
  • はじめて彼が死んだ日(『舵をとり 風上に向く者』)
  • 冬のモータープール(『夏のエンジン』)
  • 大きなミニと小さな夜(『夏のエンジン』)
  • A DAY IN THE LIFE(『死ぬには手頃な日』)

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