備忘録


昼に駅前の書店まで行き,「新潮」3月号を捲る。間違いなく矢作俊彦「ビッグ・スヌーズ」が掲載されていることを確認して購入。以前,表紙に名前が刷られていたにもかかわらず,本誌に間に合わなかった,にもかかわらず雑誌を買ってしまったことがあるので,その教訓だ。Web上での掲載予告など初手から信じていない。放送大学近くの中華料理屋で昼飯をとりながら読む。19時過ぎに事務所を出て,帰りの電車のなかで初めから本式に読み始めた。家に着くまでに読み終えることなく,続きを就寝前に読んで眠った。

「ビッグ・スヌーズ」第3回,きちんと掲載されているし,既出原稿の流用っぽい箇所も感じられない。「インディアン」のフレーズが出てきたときは,まさか東関東自動車道を首都高横羽線に置き換えて,また,あの場面に繋げるのかと不安に思ったけれど杞憂だった。きちんと紅葉坂の場面に収まっていた。

何よりも,警官ではなくなってからの二村の風通しのよさは読んでいて愉しい。『ロング・グッドバイ』ではかすかに黒のナイロン靴下を履いていかねない匂いを感じたのだけれど,『フィルムノワール』を経由して本作ではすっかり,そうした公務員然とした佇まいがすっかり失せている。

あまりにも多くのものを喪失してしまった二村に,それでもモラルを抱えさせたまま,卑しい街を歩かせる手腕を,ここは愉しむにかぎる。

事件がどこまで込み入るのかまだ見えないけれど,できることなら休載なしに完結してほしい。長年のファンとしては,休載あっても「しかたない」で済ましてしまうものの。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Top