9/12

とりあえず20時くらいで仕事は切り上げた。家内と娘は藤田嗣治展を見に行くというので,夕飯を食べて帰ることにした。バンビで済ませ,高田馬場のブックオフを覘く。古い「映画芸術」2冊と三好徹の文庫を買って家に帰る。0時から石ノ森章太郎の番組が再放送されていた。録画しているにもかかわらず,結局,最後まで観てしまう。

堀越豊裕『日航機123便墜落 最後の証言』(平凡社新書)を読み終えた。このクオリティのノンフィクションが最初から新書として並んでしまうのは,読み手としてはありがたいものの,それでいいのだろうかと少し悩む。ハードカバーとして十分な内容を伴っているだろう,と。

読み終えて,久しぶりにノンフィクションを読んだな,という感じが起きてくる。一橋文哉あたりが登場した頃から,取材で事実を明らかにしていくよりも先に,謎を中心に据えて,謎解きを通して事実の見方を変えるトリッキーなノンフィクションが幅をきかせている。松本清張あたりを出自とするのが妥当かもしれないが,そうした本は,いわゆる“陰謀論”を生み出す土壌くらいにしか機能しない。

人にインタビューして記録を掘り起し,起こり得た事実を構築する。この手間のかかる作業は,事実を伝える文章力が伴わなければ,しかし報われない。

“陰謀論”を喧伝する本がノンフィクション賞にノミネートされたという。刊行時期の関係があるのかもしれないが,賞を与えるのならば,こちらの方が先だろう。

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