台風

書きとどめておいたほうがいいのだろうけれど,幸い大事に至らなかった。

日曜日は,本当なら徹の家に行き,ホームシアターで1970年代の東映ダメ映画を観る予定だった。このところ,徹は東映や日活後期の映画,それもマンガを題材にした実写映画に凝ってしまったようで,TUTAYAやブックオフでこまめに中古DVDを買い漁っている。さすがにブルーレイで揃えるつもりはないそうで,学生時代に戻ったようなことをしている徹を他人事には思えない。

なにせ八王子から30分以上かかるところなので,行き来を含めると半日は必要だ。とりあえず日曜日に予定を調整していたところ,大型台風接近の天気予報。午前中にメッセンジャーでやりとりし,ペンディングすることにした。昨日買った『メギドの火』を置いてきてしまったかったのだけれど。

だいたい調子がよくないのだ。昨日の日帰り福井出張のためかと思っていたものの,そうではないらしい。続けてかぜ薬を飲み,少し眠る。

来週末のみちくさ市の準備を少しはしようと思い,そのためにまず,本の山を文庫と単行本,雑誌,その他に分け始めた。ところが初っ端から,ここ数回並べても手にとられることがなかった新井素子『あなたにここにいて欲しい』(ハルキ文庫)を手に取って,ペラペラと捲ってしまった。なんだかだるいし,久しぶりに読み返してみようかと思ったのはかぜをひいていたからに違いない。

『あなたにここにいて欲しい』を読んだのは学生時代のことで,初めて手にした新井素子の小説かもしれない。芳弘はデビュー早々から読んでいたはずだ。というのも,高校時代(中学は別の学区だったので知らないが,中学時代から始めていたらしい)に,彼は手書きで小説のようなものを書いていて,それはわれわれの一角で回し読みされていたことがある。出席番号順の席順は,意外と友人形成に影響がある。だいたいが「は行」から「や行」の友人が多いのは,結局のところその程度の理由なのだ。

で,芳弘が書いていた小説のようなものの文体が,新井素子というか,当時は平井和正の“超革中”のようなものだと思っていたし,本人もそのイメージで書いていたようではあったものの,まああの感じだったことを思い出した。自然と取り込んでしまったのかもしれない。新井素子の文体は表面的にはマネしやすい。

単行本のあとがきに,ピンク・フロイドの「あなたがここにいてほしい」にインスパイアされ,ただ,1文字だけ変えてタイトルにした理由について書かれていたことを覚えている。

台風は一向にその気配をみせない。15時くらいになったので,出していた靴のクリーニングを引き取りに外に出た。ただ暑いだけだ。ついでにアジアン居酒屋兄弟で昼食をとって帰ってきた。コーヒー豆をひいてコーヒーを淹れ,飲みながら半分くらいまで読んでいると,休日出勤だった家内が戻ってきたので,夕飯をとった。このあたりまで,台風の気配はない。これなら徹のところに行って帰ってこられたなあ。

かぜ薬を飲み,0時過ぎに眠る。この頃から風の音は強くなった。あまり気にならず,そのまま眠ってしまった。

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