世間

連休明け。雨。8時前に事務所に着き,17時前まで仕事。中井で降り,伊野尾書店の向かいに新装オープンした青果店で買い物をして帰る。1時間ほど眠り,MacBookAirを立ち上げ,少し仕事。

絲山秋子『御社のチャラ男』を最初から読み始める。買ったときは途中まで進み,他の本(なんだっただろう)に変えてしまったので最後のあたりは未読だったのだ。もったいない。どうせなら最初から読み返そうと思い,鞄に差し込んだ。

SNSでは辻邦生『西行花伝』と似ていると呟いたが,連作「ある生涯の七つの場所」など,連作の小説的企てに通じる試みのように思う。結城昌治の『終着駅』やサリンジャーの「グラース家シリーズ」からも決して遠くはない。

絲山さんはお父さんから「バルザックみたいだ」と言われたそうだけれど,とするならばジョイス(ディケンズ,何やってんだろう)『ユリシーズ』を参照することも可能かもしれない。さらに,初期の高橋源一郎やバラードの濃縮小説などなど。長く「世界を描く」とされてきたこれらの作品は,結局,世間を描くことを意図したのではないかと感じる。あ,埴谷雄高『死霊』だって似たようなものだ。小説で世間を描く試み。

『御社のチャラ男』は,お仕事小説というよりも世間小説として,とても面白い。

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