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STORESに結城昌治の文庫本32冊を登録。冊数をかぞえて驚いた。これまでの一箱古本市で数冊は売り,また,家のどこかに埋もれている文庫もあるから,40冊は読んだということになるのか。

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結城昌治の真木シリーズ3作をチャンドラーにたとえる紹介があるが,実際にはロスマクとの共通性を感じる読者の方が多いのではないだろうか。初期のスラップスティックミステリに犯人の悪意を込めたあたりから一貫して,悪人を悪人として描くことに結城昌治は長けている。

桐野夏生との対談で矢作俊彦が「悪人の登場人物を描けない」と吐露していた点はチャンドラーにも通じ,一方で,ロスマクや結城昌治から村上春樹まで悪を描く小説家とは,その点で一線を画す気がする。

『不良少年』(一箱古本市で売れたため,STORESにはアップしていない)を読むと一瞬,矢作俊彦の作品に通じる点を感じるものの,結城昌治が描くクラスはタテであってフラットではない。

矢作俊彦は結城昌治の小説について,小説家としては自分より遥かにすばらしいものの,描かれる街がどれも杉並なのだ,と語ったことがある(ここ)。『ゴメスの名はゴメス』を読んだとき,家の続き方が日本の横丁っぽく感じられたことを思い出す。

結城昌治の世代の少し下だけれど,チャンドラーにもっと近いのは三好徹の天使シリーズであり,ただ,そこには時代小説の匂いがあって,好き嫌いが分かれるかもしれない。こちらもアップする予定。ただし,結城昌治以上に冊数が多いので,先に矢作俊彦の重複本をまとめるかもしれない。

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