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それほどではないものの雨。気圧のためだと思うが,からだが重い。単に体重が増えただけかもしれない。

16時過ぎまで仕事。高田馬場で降り,久しぶりにブックオフを覘く。といっても1週間ぶりくらい。矢作俊彦の『ヨーコに好きだと言ってくれ』がよい状態で並んでいた。うちにある本は,どこで被ったのかわからない水に濡れたものなので,購入。文庫本3冊と一緒に。中井で牛乳とヨーグルト,ビールを買う。帰宅すると,家内は体調が悪かったらしく仕事を休んだという。1時間ほど眠る。夕飯をとり,娘が帰宅したあたりでパソコンを立ち上げた。STORESに本,雑誌の登録。25日いっぱいで,とりあえず徹から譲り受けた本は非公開にする。いまのところ反応はないけれど。

矢作俊彦の『ヨーコに好きだと言ってくれ』は失敗作だと思っていた。本人も唯一,「書きたくなくて書いた小説」と答えていた記憶がある。その後,「あれも書きたかったのだろうな」とフォローしているものの。

刊行は突然だった。毎年,6月くらいに矢作俊彦のハードカバーが刊行される。その行事が6年くらい続いた後のことだったと思う。今年は連載「眠れる森のスパイ」がまとまるだろうと思っていたところ,まったく別の方向からボールが飛んできたようなものだ。オビの惹句「『マイク・ハマーへ伝言』以来の書き下ろし」が誤解のもとだった。こんなふうに書かれると『マイク・ハマーへ伝言』のような小説をイメージしてしまう。

ところが刊行されたものは,『死ぬには手頃な日』の後半に収められた東南アジアハードボイルドがハワイを舞台に展開されたようなもので,『マイク・ハマーへ伝言』とは似ても似つかない。オビは「書き下ろし」に眼目をおいていたのだ。

地元での広告代理店仕事と,地元自体に見切りをつけた芳行が,都内のテレビ局でADの仕事を見つけた頃だったかもしれない。ある日,「新聞の広告見たか」といってアパートにやってきた。当時,そこから自転車で20分ほどのところに彼は住んでいた。六本木のテレビ局に通うには日比谷線沿線が都合よいというので,私が学生課に行き,貼ってあったアパートの物件を紹介したのだ。このあたりの時系列は混乱していて,私が自宅に泊まることが多かった時期にそのアパート,というか一軒家の廊下を塞ぎ,3部屋それぞれに間借り人が住むというスタイルだったけれど,そこに芳行が転がりこんでいた時期もある。

『ヨーコに好きだと言ってくれ』の話だ。そう言ってやってきた彼とともに近くの本屋に行き,新刊棚でみつけた。購入して読み始めたものの,どうにも調子がくるう。イメージしていたものと違うのだ。「東京カウボーイ」が雑誌に発表されたのは同じ時期だったと思う。「NAVI」では「スズキさん」が連載される。少し前までのような矢作俊彦の小説が読みたい。この作品は,そう思うきっかけになった作品で,その思いはしばらく続いた。

ただ,その後の作品『ららら科學の子』を読んだ目で数ページを捲りかえすと,これは間違いなく矢作俊彦の小説だった。あたりまえだけれど。と思いながら,通勤鞄に入れてきた。

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