初志の2/3

19時まで仕事。通勤途中は島田一男の『継続捜査官』をもう一度最初から。捜査官シリーズはここの収められているくらいの分量がちょうどよいと思う。長編だと,捜査の途中に次の犯行というパターンでもたついてしまう。帰りに日高屋で休憩して少し読む。帰宅後,夕飯。STORESに少しだけ登録。

6年前の春先,整理し終わった実家から送った本・雑誌のなかで,次の読者に届けたいと思ったのは次の3タイトルだった。『一人で旅に出よう』「NEWパンチザウルス」『恭一・現の時事放談』。初めての出店のとき,この3点をもちろん並べ,まったく売れなかった。3回目くらいまで並べたものの反応がなかったので,『一人で旅に出よう』のみに注力したところ,何回目かの出店時に売れた。そればかりか,この本を探している別の方と出会うこともできた。

初回,「NEWパンチザウルス」のたぶん創刊号から終刊号まで並べたもののまったく反応がなかった。その後,一,二度並べ,一昨年だったかのLOFTでの一箱古本市のときにも並べたけれど,ここでもダメだった。この間,1冊を書肆鯖さんに買い取っていただき,BASEに店を開いたとき,1冊だけは売れた。うれしかったものの,BASEは手探りで,あまり時間を割くことをしなかったので,その手ごたえを保つのは容易でなかった。

「NEWパンチザウルス」は当時,徹も昌己も全冊買ったはずで,昌己は今も実家にあるらしい。徹の手元にあったものは親御さんに処分されたようだ。私たちにとっては,思い入れのある,というか,とにかく面白い雑誌で,いくつかの記憶と結びついている。たぶん「千ベロ」という言葉を初めて使ったのはこの雑誌だったと思う。健康ランドで通は,鍵をアンクレットよろしく足首につけるとか,ネタのようなことも少なくはなかったけれど,社会に出たばかりの私たちにとって,世の中,何とかなりそうだと,雑誌を眺めては感じたのかもしれない。徹や昌己はさておき。

こんなに面白い雑誌が,並べても売れない。面白さをアピールして手に取ってもらうほどの親切心を私は持ち合わせていない。八切止夫にサインをもらった方は通りかかっても,「NEWパンチザウルス」を探している方とは路上で遭遇することはなかった。

STORESで先日,その1冊が売れた。加えて,レビューに書き込みまでいただいた。BASEで一冊が売れたときは初志の1/3の手ごたえを保留してしまったものの,今回ばかりはそうは思えない。これで初志の2/3は叶った。残るは『恭一・現の時事放談』だ。まだ,何冊も「NEWパンチザウルス」は手元にあるとはいえ。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Top