2007年9月

09月02日(日) 宮殿  Status Weather曇り

 『クリムゾン・キングの宮殿-風に語りて』(シド・スミス,池田聡子訳,ストレンジ・デイズ)を手に入れた。とても懐かしい思いに駆られる一方で,知らなかった情報がかなり詰め込まれていて,休日の間で読み終えたものの,残りページがおしいほど。
 Appendixがそれは充実していて,これだけでも買ってしまうだろうというほど。ただ,相変わらず,1981年12月8日の渋谷公会堂でのライブ(追加公演の追加)は,Gigographyに掲載されていない。



09月06日(木) グミ・チョコレート・パイン  Status Weather曇りのち雨

 現代思潮社から出た大槻ケンジの詩集を手に入れて以後,いや,後楽園ホールで初めて筋肉少女帯のライブを見て後,その言葉の圧倒的に同時代的な選び方が気に入って,彼が書いたエッセイ,小説などのかなりの分量を共感しながら読んだ。「サイコロ男」の“たいしたことないね”とか,「これでいいのだ」の“だがしかし”といった一言は,いまだ飲むと口にしてしまう。
 小説版『グミ・チョコレート・パイン』は,完結までかなり間が空いてしまった最終巻で,およそ昭和60年代とは異なるあれこれが入り込んできたことを差し引いても,それはそれとても面白かった。
 漫画版の連載があったことを知ったのは数年前のこと。古本屋で単行本第1巻,2巻を見つけ,小説版とは違った面白さに,読み終わってすぐ昌己に貸してしまった。ただ,残念なことに,昌己から先,この漫画の面白さを共有できる知人が,そのころのわれわれのまわりにはいなかった。「誰かに教えたいんだけど,教えられる奴がいない」昌己の魂の叫びにも似た一言からは,徹が中古CD店でCHA CHAのアルバムを見つけ,「誰でもいいから,これを送りつけたい」というはかない思いにどこか共通する思いが伝わってきた。
 漫画版は結局,第4巻までを古本屋で見つけ手に入れた。ただ,最後がどうやって完結したのか判らず,しばらく前から気になっていたのだ。先日,漫画文庫版が刊行され,すでに持っていたものと同じ内容であることを承知で,結局買ってしまった。もちろん,後悔などいっさいしてはいない。



09月11日(火)   Status Weather曇りのち雨




09月12日(水) 君といつまでが  Status Weather晴れ

 「君といつまでが」に曲をつけ,披露する段取りをすすめている。カラオケのドラフトをつくったところ,修正のアイディアをもらったため,調整中。カラオケはこんな具合。

データ調整中



09月14日(金) 百愁のキャプテン  Status Weather晴れ

 「コルトを握った手に,ふたたび力が籠もった。汗を感じた。どうしたことだろう。この男と二人きりになることを恐れていた。心底,そうせずに済むなら,淀橋署の密偵でもかまわない,立ち去ったあ奴がそこらの街角から降って湧かないものかと願った。それが無理なら,たとえ誰であろうとも。(中略)そんなことがあっていいものだろうか。彼は怯えていた。それを気取られまいとするだけで精一杯だった。」
 矢作俊彦「百愁のキャプテン」第4回より

 映画「カサブランカ」,昏いナイトクラブに,白い夜会服で登場したハンフリー・ボガートの姿が大杉栄の姿と二重なり,関東大震災後の大正十二年九月十六日の記憶に移動したくだりに,上記のような一節がある。まるで甘粕がマイク・ハマーか克哉に成り代わったかのような描写だと思う。



09月21日(金) 君といつまでが 2  Status Weather晴れ


間が空いているのは,単にカラオケのデータをつくっていたからにすぎない。仕事から帰り,睡眠時間を削ることなく,ルーティンの所作を分け入って別の作業を入れると,いきおいこんなことになる。

「君といつまでが」」は結局,こんなアレンジになった。クリムゾン・キングの宮殿を被せたアイディアは気に入っている。

データ調整中



09月22日(土) Switched on Lotus  Status Weather晴れ

 ツービートの漫才で知った言葉はいつくもあるのだけれど,「泣きバイ」もその一つ。松浦理英子の小説に,葬式で泣くことを仕事にする女性の話があって,何を勘違いしたものか,しばらくこの2つを混同してしまった。

 数年に数度,手が届きそうなくらい最近まで会話していた方が亡くなる。つい先日,仕事の関係で数週間前までお世話になった方がお亡くなりになった。私と同年代の女性だったのに,その処し方を思い出すたび,問いだけを反芻する。



09月23日(日) THE WRONG GOODBYE  Status Weather晴れのち曇り

 『THE WRONG GOODBYE』を読み返したくなった。切り抜きを持ち歩いている『百愁のキャプテン』を読み終えたらなどど思っていたところ,角川書店のHPで,11月に文庫化されるとの情報が出ていた。増刷ごとに手が入ったいわくつきの単行本だけに,文庫化に際し新たに手がはいることはないと思うものの,さて予定通り刊行に漕ぎ着けるか,妙なところに興味がある。



09月24日(月) 平成  Status Weather曇り

 平成のはじめの数年,高円寺や吉祥寺に出かける回数が飛躍的に多くなった。渋谷や新宿より,そのあたりのライブハウスに行くことが増えたのがいちばんの要因ではあるけれど,昌己が一時高円寺に住んだり,私自身,自転車で出かけられるくらいの場所に一人暮らしをはじめたことも一因。

 当時,そのあたりでみかけた女性の何人かは,なぜかやっかいな癖と二人三脚で出合い頭の一撃をそこここにかましていた。ルインズの追っかけ高じて,ヨーロッパツアーにまで行ってしまった昌己の高校時代の知り合いと吉祥寺のライブハウスで出くわしたり,名前も知らないものの,いつも同じようなライブにやってくる3人連れ,路上で,古着屋の店先ですれ違うだけの女性,バイタリティはあるのに,世の中と折り合いをつけていくのは大変だろうに,と感じたことは決して少なくない。もちろん,当人はスイスイと難なく前進していたのかもしれないが。
 昭和の終わり,宝島少女と称される女性たちとライブハウスで出くわして後,数年。昌己や徹とときどき,「宝島少女っていったいどこで何しているんだろう」と話題にあがったことがあるのだけれど,中央線沿線にいたんだ,と妙に納得したことがある。

 平成も10年以上を過ぎて,福間未紗のアルバムを初めて聞いたとき,思い浮かべたのは,あのやっかいな癖と二人三脚で出合い頭の一撃をかます彼女たちのことだった。あるとき,経歴が記されたペーパーに,私と同じ年に生まれ,吉祥寺で活動していた記録を読み,まったく納得した覚えがある。
 ときどき,“フェスタ・マニフェスト”を聴く。場違いを承知で思い出すのは小説の一節だ。

 「『気をつけてよ! それはライオンですからね』
 しかし,彼はすでに声の届かないところまで行っていた。私たちは彼が曲り角をまがるまで見送っていたが,彼のほうでは,自分の抱えている脅威に気づかずにいた??燃えさかり,緑色に沈んでいく黄昏の空に向って咆哮する菊の花」
   カポーティ「感謝祭の訪問客」(龍口直太郎訳,新潮社)



09月26日(水) オモイダス  Status Weather晴れ

 ということを記してから,“フェスタ・マニフェスト”を聞き返しているのは最近の話。

 今更ながら“オモイダス”の福間創のアレンジは,P-MODELの“ホモ・ゲシュタルト”あたりを横目にみているような感じがする。この曲とラスト“未来”。「ここから未来を思い出す」という視点は,この年齢になってもいまだ嫌いではない。



09月28日(金) 練習  Status Weather晴れ

 今日の日記です。

 会社帰りに久米くんを連れ立ってスタジオへ。近々に迫ったCola-L セレブレーションセッティング当日に向けて,第一回「君といつまでが」練習。久米くんにリードボーカルをとってもらうことに変わりないものの,さて私は何をしたらよいものか。電気グルーブのピエール瀧よろしく,隣で轆轤でもまわしてみようかと思っていたものの,あまり妙なことをやると,せっかく久米くんにリードをとってもらっているのに散漫になってしまうことは想像に難くない。コーラスというのが妥当だということで,やおら「アー」やら「ウー」やら唸ってみた。「宮殿」のところはメロディが決まっているので楽なのだけれど,それ以外のところは,まあ何を入れても大差ない。「ピョロロオロ」とか「ピュルリラ」など,間の手ともいえないフレーズを入れても,まあ,リードがしっかりしているのでかまわないかもしれない。
 来週,もう一度スタジオに入って,さて本番。
 まだ,幹事に「歌ってよい」との返事はもらっていないのだけれど。



09月29日(土) メールマガジン  Status Weather曇りのち雨

 定期的に読んでいるメールマガジンは一つもない。

 雑誌を斜め読みするときに輪をかけて,ネットで文章を読むときは固有名詞であたりをつけていたのが災いしたにちがいない。気にならない程度であれば,どんな文体であろうと,固有名詞を頼りにその前後の文章を目で追うのは容易い。
 そうやって固有名詞でネットを横断していると,ときどきメールマガジンに行き着くことがある。だからといって,その発信者の文章を続けて読みたいかというと,そんなふうに思ったことは皆無。今はそんな気分がなくなってしまったけれど,初手から一時の雑誌に期待していたような情報量を求める媒体ではないのだと思う。
 十河進という名を知ったのはメールマガジンを通してだけれど,ときどき登場する矢作俊彦に関する文章を読むと,1980年代半ばの週刊漫画アクションのコラムを思い出すものだから,目を通していたのは例外のこと。
 その十河氏が昨年,連載をまとめた大部な単行本を2冊刊行された。書店の店頭で見つけて,その安さに驚き,結局1時間ほど立ち読みしてしまった。索引がほしいと思ったのは,立ち読みしていたからだとは思う。
 この前,2冊揃って店頭に並んでいたので,荷物がないときに手に入れよう。



09月30日(日) 東京タワー  Status Weather

 物見遊山と決めたからには,チェックインして一休みした後,最初に出かけるのはエンパイア・ステイト・ビルにしようと決めていた。31丁目の安宿からビルの姿は見えなかった。近すぎるのだ。日が落ちる頃,コリアンタウンには肉を焼く煙がたちこめる。階下のクリーニング店から吹き上がる蒸気と混ざりあって,嫌がうえにも蒸し暑さを思い出させる。

 回転ドアの向こうに広がるのは,まるで東京タワーの売店そのものだった。そこから先,チケット売り場からエレベータ,観光案内映画,押しつけの記念写真屋,日本の観光地のどこかで見た光景を米国人が演じているような不思議な感じがついてまわる。




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