< 2009年8月

2009年8月

08月01日(土) フェードアウト  Status Weather晴れ

 INUの曲ではなく。
 曲の最後をフェードアウトする意味はどこにあるのだろう。レコーディングされたバージョンでフェードアウトされた曲が,ライブでもそのままフェードアウトして演奏された例は,1984年のKing Crimsonの"Three of a Perfect Pair"くらいで,これはもちろんミキサーで調整しているのだけれど。
 あぶらだこの「焦げた雲」がライブで演奏されるとき,余韻を引きずったまま,いい案配で終わるのを聞くと,終わらないで続きながらフェードアウトしていく意味がよくわからない。



08月04日(火) 産直  Status Weather晴れ

 「産直だから旨いなんて理屈あるわけないだろ。同じく採れた魚だって果物だって野菜だって,食べりゃ旨いものと旨くないのがあるのは当然じゃないか。旨いものを選ぶ仲買の力をばかにするなってんだよ。まったく。それに価値を見出せなくなった果てが,このざまだよ」
 編集を生業にしている団塊世代の知人が言った言葉。



08月09日(日) 焦げた雲  Status Weather晴れ

 で,youtubeにあぶあだこの「焦げた雲」1990年2月25日,渋谷クラブクアトロって,昌己と行ったライブの映像があがっている。この日は,ヒロトモなしの3人で「ひかり号」からはじまって,亀盤を一通りやった以外は,青盤から「四部屋」を演奏した筈。アンコールが「焦げた雲」だった。
 この日のあぶらだこは,私と昌己が観に行ったライブのベスト3に入るかっこいいものだった。
 そのうちスティーブ・ライヒ@彩の国なんて映像のあがる日がくるのだろうか。




08月14日(金) 更新  Status Weather晴れ

 「矢作俊彦因果律ランダムハウス」を久しぶりに更新。リー・マーヴィンについて@「NOW」と「スタジオ・ボイス」関連。
 「NOW」は手に入らないなら再構成しようかと思ったものの,池袋西口の古本屋でしらーっと売っていたので,まだまだ手に入るらしい。
 「スタジオ・ボイス」を引っぱり出し,ぺらぺら捲っていたところ,仲買の話を思い出した。卓越した編集者が見出した面子。私は佐山一郎経由で矢作俊彦はじめ,本田靖春,猪瀬直樹(の短いけれど面白い時期)など知った。産直より卓越した仲買のセンスのほうを私は信じている。



08月17日(月) 雑誌  Status Weather晴れ

 休みにスクラップブックを整理して(というより,引っぱり出して眺めて)いると,『東京カウボーイ』が読みたくなった。午前1時をまわっていたものの書棚から取り出した。やけに面白く感じたのはどうしたことだろう。刊行当時,後半の折にまとめられた短編以外は「ジャップ・ザ・リッパー」の終わりを,団塊の世代の知人と「あれ,殺されちゃうんだろうか?」と話題にしたくらいしか記憶がない。
 「ジャップ・ザ・リッパー」以外の連作「東京カウボーイ」は掲載時の雑誌が今でも本棚の奥に差し込まれているので,それを引っぱり出した。3時近かった。家人が起き出さないようにクローゼットの扉を締めてから,中の電気を灯した。寝具が重ねられた棚の横に通販で買った本棚を嵌め込み,あぶれた本を脈絡なく積んであるのだ。「歴史読本」は別のところに置いてあったので,「すばる」が3冊出てきた。

 「最初にこれのメモを書いたのは一九八八年,そのころ「すばる」の編集長だった治田明彦さんがこういう話を知っているかと教えてくれた。」
   矢作俊彦・高橋源一郎「対談/喪失の先にあるもの」(文學界)

 3冊のうち,一冊は宍戸錠のインタビュー記事が載ったもので,「東京カウボーイ」掲載分は2冊。うち一冊は1989年4月号で,ここに「三,サイドライン」が掲載されている。記憶では最後の掲載されたのが「六国封相」だったように思いもし,とすると1回分,掲載されていない話があったのだろうか。
 で,その4月号に安藤二葉の「堀口大學,メキシコの悲劇週間」の第二回目が載っている。

 同じ号にはジョン・ゾーンのインタビュー,福間健二の「新東宝<ライン>シリーズの石井輝男」が載っていて,どちらも読んだ記憶がある。ジョン・ゾーンの日活アクション映画についての話は,はじめてここで読んだのだった。

 というような出会いが,雑誌を通してあると,おちおち捨てられなくなるものの,もちろん夢を抱える檻がわが家にあるわけもなく,切り取っては捨てる日々が続きそう。
 以前アップした「ハイアニスポートのJFK」だかといった連載のデータが出てきたので,そのうち再構成します。



08月19日(水) 雑誌 2  Status Weather晴れ

 「歴史読本」1988年3月増刊「特集/中国 謎の秘密結社」が出てきた。「東京カウボーイ」初出時は「傑」ではなくて「J」と表記されていたのだった。(と,これは以前記したような記憶がある)で,『ハード・オン」のJと重なってしまいそうになる。朝,「海燕」「文藝」なんかも出てきて,しばらく眺めていたら出勤時間になった。



08月20日(木) カレー  Status Weather晴れ

 おばさんのいうとおり,グリーンカレーを素麺で食べると旨かった。ソンタムとパッタイを併せて食べるのは比類なき旨さ。



08月24日(月) 誤植  Status Weather晴れ

 このところ,新潮文庫版の『複雑な彼女と単純な場所』『ドアを開いて彼女の中へ』を鞄に忍び込ませ,通勤途中読んでいた。ただ,なんだか妙な誤植が目につく。文芸座が劇団名に変わっていたり,真実と事実がごちゃまぜになっていたり。後者は致命的だな。



08月27日(木) 道と店  Status Weather晴れ

 20代の頃,いやというほど銀座の通りを歩き回ったので,当時の記憶は呼び起こせば出てくるに違いない。ただ,その通りにどんな店があるかとなると旨くつながらない。
 記憶では,資生堂の奥を左に曲がると銭湯があって,その近くに中華そば屋が店を構えている。カンスイが効きまくった独特の麺の味。福家書店の2階には喫茶店がまだあり,立ち食い蕎麦を食べた後,講談社文庫の江戸川乱歩全集を1冊買い求め,そこでしばし休憩する。仕事帰りに帝国ホテルの手前,ガード下に緩い傾斜で続く暗がりを新聞の搬入口を目の前に見ながら進む。ときどき2階へ続く階段を昇ると怪しげな事務所と,およそ入るのに憚られる店構えがぽつんぽつんと並ぶ。
 銀座ナインをまたいで新橋に向かうと有名なおでん屋の木の扉の奥から上司がおいでおいでをする。

 少し前のこと。東銀座と勝どきの間あたりで火鍋を食べた帰り,しばらくぶりに銀座をぷらんぷらんすると,残っているのは銭湯と喫茶店のない福家書店,ガード下(実際には内部)は,相変わらず変わっていないようにみえた。



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