2010年5月

04月03日(土) rumor8  Status Weather晴れ

 「酸辣湯の辛みは胡椒のほうが旨いにちがいないけれど,エビチリに胡椒も相性いいよな」
 「鶏肉とセロリの胡椒炒めは旨いけど,エビチリ?」
 「ああ。ストイックな辛みでこれがいいんだ。胡椒と中華の組み合わせはベトナム経由で入ったんじゃないかと思うんだけど。鴨のローストが自慢の中華屋のスープなんて,洋風のブラックペッパースープっぽいし」
 「まるで,中華料理店とカレー店さえがあれば,毎日の食事足りるような生活みたいですね」
 「違いない。まったくイギリス人をばかにできない」



04月07日(水) 2本  Status Weather晴れ

 昨日「すばる」を買って,今日「新潮」を手に入れた。それにしても2本同時連載とは。
 「月下の鉤十字」は,「百愁のキャプテン」以来,手慣れた,史実をイマジネイティブに構成しなおして物語にダイナミズムを生み出す手法のよう。ルブランが死ぬ間際,「ルパンに殺される」と言っていたことなど知らなかった。
 「フィルムノワール」の宍戸錠本人が登場する件は,どうなんだろう。こわれものすれすれの手管で,下手すれば,作者の顔ばかりちらついてくる。香港に乗り込んだので,楽しみだけど。
 「チャイナマンズ・チャンス」は人称無視した構成で突っ走って,すごいことになっている。このままでは単行本にはまとまりそうにない。前半端折って,場面を入れ替えて,初のゴロウ・フジカワものの単行本として刊行というのはありだろうか。

 その前に『常夏の豚』が何とか出ないかな。



04月10日(土) rumor9  Status Weather晴れ

 その年の最後の夜桜を見に,会社帰り,タイ料理屋で待ち合わせたときのこと。いつもなら一度座ると閉店まで落ち着いてしまうその店を一時間程度で切り上げ,シンハビールの酔いを覚ましに川沿いをぶらつく。会えば間隙が繋がってしまうような間柄であっても,このところ仕事の話に終始してしまうのはなぜだろう。
 同じ話を繰り返し,同じ返答をする。ただ,そのやりとりが決して嫌いでない理由が自分でもよくわからない。



04月13日(火) Making plans for Nigel  Status Weather晴れ

 「あれはプロデューサーのこと歌ったんだぜ」
 XTCをネタに昌己と遅くまで居酒屋で飲んでいたときのこと。どこで聞いたのか読んだのか忘れてしまったが、私はそう言った。当時,政治的な意図があるのではと思っていたので,そう読んだ(聞いた)ときの印象が強烈だった。昌己は「ヘリコプターのほうが好きだけどな」と答えたのだったと思う。
 ところが最近,ネットで検索していると,コリン・ムールディングが父親のことを歌った曲だという。加山雄三のようにまったく知らなかった。



04月16日(金) 抱きしめたい  Status Weather晴れ

 10代の多くを北山修の考えることにまみれて過ごした。当時,話のなかに,かなり引用させてもらったフレーズがあったにもかかわらず,今,記憶に残っている言葉はそう多くない。ベンヤミンを読み始めたきっかけは北山の『人形遊び』というエッセイ集(『止まらない回転木馬』にだったかもしれない)で,そのなかに,ビートルズの"I WANNA HOLD YOUR HAND"を"抱きしめたい"と訳した意味についての件があった。英国留学中の北山が,地元の人に訊ねたところ,"手を握りたい"は,邦訳と同じく"抱きしめたい"の意味で聞いていたという。
 10数年前,竹内敏晴先生とのやりとりの際,このことを記したところ,興味をもって読んでいただいた記憶がある。



04月18日(日) You'd Be So Nice To Come Home To  Status Weather晴れ

 以前記したように,他社の先輩に連れられて入ったバァで,はじめてジンを飲んだとき,ジャズのリクエストを強いられ,ついこの曲名を出してしまった。ヘレン・メリルというと,『マイク・ハマーへ伝言』での克哉のあの場面しか思い浮かばなかった頃なので,まるでバンシーズがカバーした"Strange Fruit"みたいな"Black Is The Color Of My True Love's Hair"は聞いたことがなかったのだ。今なら,ひねくれついでに,こっちを頼むかもしれない。
 初めて飲んだジンの強烈な松ヤニの匂いは今も覚えている。その後,自分でタンカレーを買い求めて,ウィルキンスンのジンジャエールで割ってよく飲んでいた時期があるのだけれど,最近,ジンを飲んでもあまり松ヤニの匂いを感じなくなったのが面白くない。同じような匂いの記憶がオリーブオイルにもある。



04月20日(火) アラン島  Status Weather晴れ

 フィッシャーマンズセーターの出自は,アラン島で船で出かけて行く男が打ち上げられてときの目印だということを知ったのはいつのことだったか覚えていない。下北沢の劇場で竹内敏晴先生のワークショップがあったとき,シングの"海へ騎りゆく人々"の一幕が演じられたことがあって,昔,イザベル・アジャーニ目当てで観た「ブロンテ姉妹」の陰鬱の景色を思った。後に,実際,アラン島へホームステイで訪れた知人に聞いたところ,筆舌に尽くし難い風土なのだという。



04月27日(火) まさか  Status Weather晴れ

 「ミステリ・マガジン」の6月号を捲りながら,次号予告に目をやると新連載の項に矢作俊彦の名前が。小説4本同時連載なんて,これまでなかったはず。「チャイナマンズ・チャンス」はばっちり「眠れる森のスパイ」化しているし(R計画というのは,元々東郷隆の幻の小説「ザ・イタマエ」に登場するネタだったとラジオで言っていたと記憶しているのだけれど,「眠れる森のスパイ」に入っていたし),まあ,これはこれで再構成してまとめられるのなら納得もしよう。

 と,このところ,昔のラジオ「アゲイン」で「すばる」編集長の治田明彦登場の回のある場面を探そうと思っている。ただ,バタバタと忙しく,その箇所を音声データ化してWebにあげられないのが残念。

 ところで,刊行すぐに「野性時代」6月号が品切れたというのは事実なのだろうか。単に発行が遅れただけのように思えなくもないのだが。



04月29日(木) 連載  Status Weather晴れ

 押し入れの奥から「アゲイン」の録音テープ一式を探り出し,たぶんこれだったはずと1本を取り出したところ見事にヒットした。
 「So Long」の連載のとき感じたことを,「チャイナマンズチャンス」にも感じるのだけど。つまり,ここで言っていることのまったく裏返しとして。

 データ調整中

 何年振りかで聞き直したけれど,ほんと面白かった。



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