2010年7月

07月14日(水) さまよう薔薇のように  Status Weather晴れ

 数年前,矢作俊彦の『さまよう薔薇のように』が文庫化されたとき,最初に思ったのは「意外と薄いのだ」ということだった。ハードカバーで何度も読み直した3篇は,どれも密度の濃い文章で綴られていたので,読むのに時間がかかった。いや,時間をかけて読んだというほうが適切かもしれない。
 週末の午後,本棚から久しぶりに取り出したところ,「船長のお気に入り」を読み終えるだけで十分,あとの2篇はその週をかけて少しずつ読み進めた。



07月19日(月) ミクロネシア  Status Weather晴れ

 『サムライ・ノングラータ』(ややこしいが文庫のほう)を読み直していて,家族を伴って出かけたのはグアムとまり。浦賀水道を抜けただけよしとしよう。



07月20日(火) ミクロネシア  Status Weather晴れ

 知人は旅行に出かけると,食べ物以外,土産を買わないという。それは秋の空よりも高い志というよりも,単に趣味の問題かららしい。
 外に出かけたとき,年を経るにつれて食事のバリエーションが増えたのは同様に趣味の問題だと思う。ニョニャ料理はほとんど食べずに中華料理とカレーばかり食していた30代と比較して,40代も半ばになるとチャモロ料理へのハードルがほとんどないことがそれなりに新鮮だった。



07月21日(水) ミクロネシア  Status Weather晴れ

 モームの小説の影響からだけではあるまいが,ゴーギャンが描く南洋の様子に美的感覚をもった記憶はほとんどなかった。ところがだ。
 海をながめながら2日間いただけで,首が短く手足は逞しく,おまけに空気を入れて膨らませたかのような下半身の様子が,決して特異なものではなく,何らかの郷愁を及ぼすことに唖然とした。



07月22日(木) ミクロネシア  Status Weather晴れ

 雨,嵐のドゴール空港からの出発のとき以上に荒れたフライトは記憶にない。以前記したけれど,出発は1時間ちかく遅れ,どうにか飛びはしたが食事のサービスをできるような安定さとはほど遠い揺れのなか,とりあえずドリンクだけは配られはじめたので,ボトルのタンカレー2本とトニックウオーターを手に入れ,真夏のグラウンドよろしく味わうこともせず,酔うために飲み干した。はじめから酔うことを目的に酒を飲んだのは,あのときがはじめてだったような気がする。
 胃をひっくり返しても酔いのせいか揺れのせいか判らないからいいや,といった投げやりな気分を伴って,思惑とおりすっかり熟睡した。
 飛行機には,仕事の都合で年に数回乗るくらい,海外に出かけたのは,カトリーナ台風が上陸し,CBGBが閉まった夏,ニューヨークに出かけたのが最後。家族連れの,形式上はツアーだったので,ボーディングパスもシンプルで,ほとんどトラブルに遭遇することもなかったけれど,あの数枚綴りの毒々しい色をした航空券が少し懐かしい。



07月23日(金) ミクロネシア  Status Weather晴れ

 余程のことがないかぎり読み終えないものの,海外に出かけるときは文庫本を携える。読み終えたのは,あまりにも暇だったケアンズでの『シェルタンリング・スカイ』やニューヨークのブックオフで手に入れ,帰りの飛行機の友となった『アルジャーノンに花束を』くらいしか記憶にない。
 グアムへは『スズキさんの休日と遍歴』を持っていった。ショッピングモールやホテルのラウンジで家族を待ちながら捲ったけれど,読み終えたのは自宅でだった。
 



07月26日(月) あとは沈黙の犬  Status Weather晴れ

 この小説は「仁義」のReversionというよりも「ウリシス911」のそれっぽくなってきた。ということは,これまでの短編使いまくりで,「ウリシス911」との時制の整合性を固有名詞でとっていこうという案配だろうか。



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