2010年11月

11月09日(火) 牧夫フランチェスコの一日  Status Weather晴れ

学生時代,教授が紹介した本のうち,手に入れたものは実のところ,そう多くはない。メアリ・ダグラスの『汚辱と禁忌』や鶴見良行の『バナナと日本人』とかケン・ウィルバーの『無境界』とか。 『牧夫フランチェスコの一日』は,そのうちの一冊。引越しするときに自宅へ置いてきたところ,なぜか母親が読んだらしく,娘の世話を手伝いにきた際,「日本と同じだねぇ」といわれたことを覚えている。
 弟以外,私が買った本に興味をもつことはなかったわが家だったけれど,その後,辻邦生やら松下竜一やらを,母親は読んだそうだ。
 母親が息を引き取った日に思い出した。



11月10日(水) 逆転  Status Weather晴れ

母親が危篤だという知らせを受け,仕事を終えると入院先へと急いだ。2日前に見舞ったときとは呼吸の様子が違っており,この呼吸を数時間続けるのはよほど体力を使うだろうと思ったのは,それほどに全身で息をしていたためだった。
 父親と妹がベッドサイドについている。家内や娘が到着しはじめると,徐々に時間が過ぎるのがゆっくりになったように感じた。
 仮眠室を確保し,交替で母親に付き添うことにしたものの,父親と妹は体をやすめようとはしない。3人でひとくだり話を終えると,何かを待つような感覚が頭をもたげてきた。
 それは,母親の様子をみながら,結果,ここに訪れる死を待っているような感覚。いたたまれなくなった私は,予定の休憩をきっちりととり,食事もできるだけとるようにして時間をやりすごした。



11月25日(木) あとは沈黙の犬  Status Weather晴れ

矢作俊彦の連載「あとは沈黙の犬」が終了するというので,読み返していた。『ロング・グッドバイ』でも,連載「ヨコスカ調書」から四半世紀経てしまったこ との,どうしようもない時系列上の不具合が,結果,うまくまとまったとはいえなかったのと同様の整合性のなさが本連載にもある。
 ただ,それを差し引けば,以前に同様の手法でまとめた「SO LONG」や「ウリシス911」に比べると面白かった。
 誤植や,記憶メディアの整合性,主語の間違いなど,編集者レベルでチェックできるミスが散在するのが惜しいも。



11月28日(日) Q10  Status Weather晴れ

テレビドラマ版「野ブタを,プロデュース。」を繰り返し見たのは何年前だっただろう。「Q10」を録画しているのは,同じ脚本家の作品だからという以外の理由はなかった。
 家族とともに週末から録画した分を見始めたら,5話まで進んでしまった。何だか福間未紗の「未来」の一節,"ときどき ぼく 思い出す あの未来"を彷彿とさせる物語。
 比較してしまうのが癖なのだけど,登場人物をもう少し増やしてもよかったような気がする。



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