矢作俊彦の短編集『ブロードウェイの自転車』に収載されている「レノックスヒル・ホスピタル」は,「ミステリマガジン」1980年9月号,10月号に掲載されたエッセイ「緊急の場合は」をもとにしたものである。

1979 年に「ヨコスカ調書」連載を放り出して(?)ニューヨークに行ってしまった矢作俊彦が実際に体験したことなのだろう。

「レノックスヒル・ホスピタル」 のように,元になる体験があらかじめ発表されているケースはあまりないけれど,いつの間にか寡作とはいえないほどの作品を発表している矢作俊彦の小説のな かに,果たしてどれくらいの体験が織り込まれているのか想像するには,あまりにもまとめられたエッセイや発言が少ない。

a_case_of_need01a_case_of_need02a_case_of_need03 a_case_of_need04 a_case_of_need05