文学界新人賞作のタイトルが「イッツ・オンリー・トーク」。
立ち読みで,ページを捲っていくと,エイドリアン・ブリューとロバート・フリップの名が見つかった。最終章のタイトルが「クリムゾン」。
これまでも,小説でクリムゾンの名を目にすることはあったものの,女性の作家によるものは(たぶん)森真沙子以来,2人目の経験だ。80年代のクリムゾンへの言及としては初めてだと思う。
にしても80年代。もはや20年前の曲を,なぜ,新人作家が。花村萬月の小説には,「ブック・オブ・サタディ」のことを語る10代の女性が登場し,それを読んだ友人は思わず吹き出した。
「いくらなんでも,いないだろう」
たとえば,ロベール・ブリアットの『ポール・ボウルズ伝』には「シェルタリング・スカイ」への言及があり,ちゃんとクリムゾンの名が示されている(ポウルズ本人が「面白い解釈だ」といったとか)。ついでにポリスの「サハラでお茶を」も登場する。(こちらは散々)
そろそろ,そんな流れからクリムゾンを取り入れる小説家が現れると面白いのだが。
ところで,この小説が掲載された「文學界」には,ベストセラー「キャッチャー・イン・ザ・ライ」(おっと,ウォッチャー・オブ・ザ・スカイと打ってしま いそうになった)が小特集で取り上げられている。翻訳家のノートに加えて,鼎談などもあり,ついでに捲っていると,トルーマン・カポーティの名が何回か登場した。
“Other Voices, Other Rooms”のあの少年のことではないが,始まりはカポーティなのだろうか。
大昔,三岸せいこという漫画家がいた。萩尾望都と大島弓子に映画テイストをプラスしたような作風(もろ,フェリーニという漫画もあったと記憶している)。彼女の作品のあとがきで,カポーティについて触れられていたことを(「名探偵登場」)思い出す。