立ち尽くす

弟は昔,ツバキハウスで(ピテカンではなかったと思うが)トイ・ドールズのライブを見たとき,あまりの激しさに胃がひっくり返ってしまったという。

同じような経験をしたのは,平沢ユニット改め此岸のパラダイス亀有のワンパターンバンドのライブにラ・ママへ行ったときのことだ。昌己は「気が遠くなった」というほどに酸素が薄いライブだった。マスクで酸素吸入してまでライブすることはないと思うのだが。
それでも「ダイジョブ」での「わたし しぶとい 伝染病」コールには燃えたが,とにかく激しかった。

その後,P-MODELは氷河期に入り,平沢ソロは,はじめこそクアトロだったが,徐々にキャパシティが広くなり,いきおいライブハウスからは2年くらい遠のいた。

渋谷,新宿のライブハウスへいくことはなくなり,しばらくして,中央線沿線に移っていった。高円寺20000Vや吉祥寺曼陀羅。ジョン・ゾーンや吉田達也など,土曜の夜に行なわれていたライブは,サラリーマンにはもってこいだ。
たった1,2年しかたっていないのに,ライブハウスは様変わりしていた。オールスタンディングであっても,スタートまで皆,埃だらけの床に座りこんで,言葉少なに待っているのだ。

「立ち尽くせよ!」

ライブの帰り,1Fで回転寿司をつまみながら,われわれは,よっぱらいオヤジのように,ため息をついた。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Top